忍者ブログ

カラス、セラフィン、"トゥーランドット"

2017.09.16 - プッチーニ

bizet



マリア・カラスのソプラノ、セラフィン指揮ミラノ・スカラ座、他の演奏で、プッチーニの「トゥーランドット」を聴きました(1957年7月、ミラノ、スカラ座での録音)。
 
 
トゥーランドットは、ソプラノ・ドラマティコ最大の難役のひとつであって、ニルソンやボルク、マルトンのようなパワー系の歌手による録音が知られています。
実際、彼女らの歌を聴くと、のけぞります。

ときどき、リッチャレッリなどのリリコが歌うことがありますが、声が綺麗なのでそれなりの魅力はあるものの、ここ一番での圧力が物足りないように感じます。
カラスは1940年代にこの役をこなしていたと伝え聞きますが、リリコも多いであろう彼女がどう歌うのか。セラフィンの指揮よりも、シュヴァルツコップのリューよりも興味がありました。

果たして、かなりいいです。カラスはドラマティックな役柄は合うので、そこは問題なく、懸念していたのはパワーであったのですが、なんら不足はありません。2幕で彼女が登場すると、雰囲気が一変します。存在感が尋常ではない。いくぶん陰のある声は天高く飛翔し、ときおりドスをきかせて、大オーケストラと渡り合います。痺れます。
この時期、彼女が劇場でこの役をやっていたのかはわかりません。もしかしたら、この演奏はセッションならではの成果なのかもしれません。だとしたらレコード芸術の妙味はここに尽きるというものでありましょう。

リューは、まずまず。なんて言うと怒られるかもしれません。じつはシュヴァルツコップが苦手なのです。ブラームスやマーラー、R・シュトラウスの歌曲や「ばらの騎士」など聴くと、いかにも古色蒼然としていて。けれど、この演奏では若々しくて艶のあるを聴かせてくれます。古めかしいところはやはりありますが。

フェルナンディのカラフは声が明るい。カラッとしている。苦悩を微塵も感じさせないサッパリ感は、むしろ小気味いい。

セラフィンのオケは軽快。贅沢を言うなら、もう少し厚みがあってもいいかもしれない。弦楽器と木管楽器は小回りがきいています。ブラスはよく鳴っていて、迫力にもこと欠きません。

皇帝、ティムール、ピン、パン、ポン、合唱は、万全の声で主役を支えています。

全体を通して、やはりカラスはただ者ではない、という印象を強めました。


トゥーランドット:マリア・カラス
カラフ:エウジェニオ・フェルナンディ
リュー:エリーザベト・シュヴァルツコップ
皇帝:ジュゼッペ・ネッシ
ティムール:ニコライ・ゲッダ
ピン:マリオ・ボリエッロ
パン:レナート・エルコラーニ
ポン:ピエロ・デ・パルマ、他
ミラノ・スカラ座管弦楽団&合唱団








ma
 
パースのビッグムーン。











PR
   Comment(0)    ▲ENTRY-TOP

Comment

コメントタイトル:
投稿者名:
Mail:
URL:
投稿内容:
Password: ※1
Secret: 管理者にだけ表示を許可する※2
※1 パスワードを設定するとご自分が投稿した記事を編集することができます。
※2 チェックを入れると管理者のみが見ることのできるメッセージが送れます。
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
ポチっとお願いします(´_`\)  ↓ ↓ ↓
最新コメント
カッチェン、フロマン、ブラームス"ピアノ協奏曲2番" from:Yoshimi
-11/16(Thu) -
フルニエ、フィルクスニー、ブラームス"1番" from:老究の散策クラシック限定篇
-03/18(Sat) -
ゼルキン、オーマンディ、ブラームス"1番" from:老究の散策クラシック限定篇
-02/20(Mon) -
ゼルキン、オーマンディ、ブラームス"1番" from:“スケルツォ倶楽部”発起人
-02/20(Mon) -
古典四重奏団、ベートーヴェン、15,13"大フーガ" from:老究の散策クラシック限定篇
-10/30(Sun) -
最新TB
カテゴリー