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"最前線"、カッチェン、"間奏曲"

2016.01.16 - ブラームス

ma



ヘミングウェイ(高見浩訳)の「最前線」を読む。


「死体は一体ずつ、もしくはひとかたまりになって、野原の丈の高い草むらや道ばたに横たわっていた。どの死体もポケットが引き出され、その上には蠅が舞っていた」


舞台は、ヘミングウェイが従軍していた、第一次世界大戦だと思われる。
アメリカ兵が、死体の山を自転車で駆け抜けて知り合いの中隊長のところへ向かう。会話の内容には、ほとんど意味がない。世間話に毛が生えたような。アメリカ兵の回想は、寓話的。恐怖を通り越して、虚無的ですらある。
戦闘シーンはないが、戦争の怖さの一端を、文章の端々から感じることができる。

「現実に行われるレイプでは、女のスカートを頭の上までまくりあげて息ができないようにしたり、共犯の兵士が女の頭の上にすわったりするものだ」。

殺し合いだけが戦争ではない。






カッチェンのピアノで、ブラームスの「間奏曲」op117を聴く。

いくつかのディスクを聴いて、カッチェンは極めて優秀な、というかブラームスの弾き手として最高クラスのピアニストだと思っていた。
そしてこの117を聴いて、ますますその考えを強くした。

アンダンテ・モデラート。
夜の帳が下りる。
ピアノの音色は、人通りの少ない都会のアスファルトの匂いのよう。たっぷりとしたテンポ、ふくらみのある響き。タッチはとても柔らかい。

アンダンテ・ノン・トロッポ
夜は、さらに深まる。吟味に吟味をかさねたであろう。ルバートは、とても注意深く行われ、スムーズでいきいきとしている。

アンダンテ・コン・モト
思索が蠢く。激しい夜の考え。悲観する。もだえる。でも、幸か不幸か朝は来る。

 
1962年~1965年、ロンドン、デッカ第3スタジオでの録音。




ma
 
1月。





3月に絶版予定。。






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Comment

天性のブラームス弾き - yoshimi

こんばんは。
カッチェンの「間奏曲」、お気に召して良かったです。
カッチェンの演奏は、多用するルバートと音色の陰翳や輝きの変化で、短い小品に凝集された明暗と情感のドラマティックな移り変わりが深く味わえるように思います。

Op.117の第1番は、レーゼルがリサイタルのアンコールによく弾いています。
カッチェンは暗くて寂寥感がもやもやした霧のように漂ってますが、レーゼルは明るい子守歌風です。
録音時の2人の年齢差と、ピアニズムの違いを感じます。

第2番と第3番も陰翳と哀感が濃いですね。
カッチェンの演奏ってこんなに暗かった?と思い直してしまいました。
でも、ベタベタ~とした情感ではなくて、どこかクールな透明感というか、醒めた透徹した視線を感じます。
まだ36歳にして、こういうブラームスを弾いていたということは、カッチェンは天性のブラームス弾きなのだと思います。
2016.01.17 Sun 20:28 URL [ Edit ]

深く感銘を受けました。 - 管理人:芳野達司

カッチェンのブラームス曲集、まだ聴き始めたばかりですが、驚きがたくさんあります。
この117については、yoshimiさんのコメントに集約されていると存じます。
また、これはレビューするかどうかわかりませんが、同じディスクに収録されているハンガリー舞曲を聴きました。途中から、連弾になっているのですね。ですが、その違いが言われてみないとわからない。カッチェンの目覚ましいテクニックをじゅうぶんに堪能できました。
残りを聴くのが楽しみです。
ゆっくり聴いていきます。
2016.01.18 22:28
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