忍者ブログ

パレイのスクリャービン「練習曲」

2006.11.30 - スクリャービン
パレイ

アレクサンダー・パレイ(Pf)/スクリャービン「練習曲全曲」


実相寺昭雄が亡くなった。69歳といえば、まだ若い。のか? 平均年齢を鑑みると若いといえるが、69という年齢を「若すぎる」という評は如何なものか。そりゃ30,40で死んでしまったら「まだやり残したこともあるし家族もいるし」という話になるが、とりあえず老年の域ではある。信長時代の「ジンセイ50年」とは言わないが、70に差し掛かるヒトの逝去、長生きすればいいというものではないのではないかと思うのである。亡くなって惜しいヒトであるのは間違いないけれども。
実相寺といえば、ウルトラセブンのメトロン星人の巻が有名であるし、私は彼の作品の代表をそれでもって知っている。
セブンとメトロン星人が、ちゃぶ台で向かい合っているシーンは、今では何故かパチンコのCMでもやられるほどに有名になってしまったが、当時もしくはその後しばらくは知っている者の間だけでの秘かな自慢話であった。
あのシュールなシーンは、すっかり大人といえる年齢になってさえも、とても新鮮に感じるし、文化の異なる他者との対話(それが敵対的なものであろうと)の不思議な感触に触れているような気がするのだった。

スクリャービンは、ロシアのショパンとの異名があるらしい。一般的広まっているのかはわからないが、どこかでそんなような記事を読んだことがある。
私はこの作曲家について詳しいことはわからないのだが、この「練習曲」を聴くと、たしかにショパンの練習曲を土台にしたかのような印象を受ける。
ショパンは練習曲を概ね2つの時期にかけて作り、それは基本的に24曲として構成されているが、このパレイのCDに拠れば、スクリャービンの練習曲は6つの作品番号にまたがって、26曲ということになっている。
聴き味はショパンのそれに似ている。「練習曲」という範疇を超えるような聴き手に迫る訴えかけとメロディーの美しさがある。スクリャービンは、前期と後期の作風がだいぶ異なるので、後半になるにつれていくぶん晦渋になっていくが、サロン風な雰囲気が全曲を通して感じられる。
パレイのピアノは、ホロヴィッツのそれが肉食獣だとしたら、草食獣のもの。いたずらにダイナミズムを求まない、というか渋い演奏なのだけれど、石造りの建物の地下の居酒屋でウォッカをやっている雰囲気が濃厚に伝わる。というか私には勝手に伝わっている。




★音楽blogランキング!

★にほんブログ村 クラシックブログ




無料メルマガ『究極の娯楽 -古典音楽の毒と薬-』 読者登録フォーム
メールアドレスを入力してボタンを押すと登録できます。




登録フォーム



解除フォーム




PR
   Comment(4)   TrackBack(0)    ▲ENTRY-TOP

Comment

無題 - Niklaus Vogel

吉田さん、こんばんは!
このたびは「ロシアン・マンスリー」、とても愉しめました。ありがとうございます!
実相寺氏逝くの報を、外出先の車中のラジオで知りました。
ウルトラセブンといえば、最終回も氏の演出なのでしょうか? シューマンのピアノ協奏曲が、なんともシュールな扱い方であると思ったものです。
来月は「バレエ・マンスリー」としてブログを更新していく予定ですが、その中で、ウルトラセブンのメインテーマ曲をどうしても想起させてしまう曲も取り上げる予定です。
2006.12.01 Fri 00:15 URL [ Edit ]

Re:Niklaus Vogelさん、こんばんは。 - 管理人:芳野達司

セブンの最終回、私も最初は彼の演出かと思ったのですが、実相寺ではないようです。演奏はリパッティとのことですが、あのシューマンもまた効果的ですね。お話もいいです。たまに観ますが毎回うるうるします。
「ロシアン・マンスリー」、楽しかったです。ロシアものは食べ応えがあります。書き残したことがあるので、来月も多少引きずるかもしれません(といっても、通常のブログではありますが)。
「バレエ・マンスリー」、楽しみにしております。
2006.12.01 00:22

無題 - しじみ

こんばんは。
「ロシアン・マンスリー」へのご参加、本当にありがとうございました!吉田さんとNiklaus Vogelさんのご参加が本当に心強かったです。
今回お書きになっていらっしゃるスクリャービンのピアノ曲もそうですが、私にもまだまだ食べ残しがあります。ですが少し勉強する時間をいただいて、そのうち「ロシアン・マンスリー2」をやりたいと考えております。その際はまたぜひご参加くださいませ。
2006.12.01 Fri 21:37 URL [ Edit ]

Re:しじみさん、こんばんは。 - 管理人:芳野達司

「ロシアン・マンスリー」、面白かったです。「2」の開始を楽しみにしています。
しじみさんとNiklaus Vogelさんの記事を読み、聴きたいCDが増えました。そこで本日、HMVに足を運びましたが、いずれも店頭にはなかったです。あそこは日本でも最大級の店舗なのですが…。WEBで注文することにします。近いうちに記事を書ければいいなと思います。
2006.12.01 22:10

無題 - rudolf2006

吉田さま
いつもコメントありがとうございます。
スクリャビンと来ると、ホロビッツは晩年に入れた、CBS盤のLPを思い出します。肉食獣ですか、言い得て妙ですね。あの演奏は、とんでもない演奏でしたね、聴くと目眩が、爆~
2006.12.01 Fri 23:20 URL [ Edit ]

Re:rudolf2006さん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

スクリャービンのこの曲集は魅力的で、もっと録音が多くてもいいと思うのです。全曲だといろいろ難しいのですかね。
ホロビッツはのCBS盤はスゴイです。あれでこの曲を知りましたが、なんというか、世界中のちゃぶ台をひっくり返して回っているような迫力がありますね。
2006.12.02 17:21

無題 - neoros2019

吉田さんは実相寺昭雄の`70~72ATG3部作をご存知ですか?
`70無常はモノクロの画面に全編バッハの無伴奏ヴァイオリンパルティータ1番が流れますし2番目の曼陀羅はパイプオルガン、3番目の哥(うた)はヴィヴァルディの四季で統一されています
邦画批評ではモダニズムの洪水と揶揄された作品群でしたが私はこの3部作はドストエフスキーにどっぷりつかっていた学生時代を想起させる愛すべき逸品と規定しています
ここでのカメラワークが日本のキューブリックといわれた所以ですね
今見返すといささか冗長の感は拭えないですけど
2008.09.25 Thu 10:18 [ Edit ]

Re:neoros2019さん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

実相寺昭雄といえば「ウルトラマンシリーズ」しか知りません。特に印象的なのはメトロン星人の巻での、ちゃぶだいのシーンでした。
なので、ATG3部作は、不勉強ながら観たことがないのです。
バッハやヴィヴァルディですか。面白そうです。
キューブリックは好きな映画作家です。全部は観ていませんが、半分くらいは観たのじゃないかと思います。
2008.09.26 12:55
コメントタイトル:
投稿者名:
Mail:
URL:
投稿内容:
Password: ※1
Secret: 管理者にだけ表示を許可する※2
※1 パスワードを設定するとご自分が投稿した記事を編集することができます。
※2 チェックを入れると管理者のみが見ることのできるメッセージが送れます。

TrackBack

この記事へのトラックバック
TrackBackURL
  →
カレンダー
07 2017/08 09
S M T W T F S
2 3 4
6 7 9 10 11 12
14 16 17 19
21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
ポチっとお願いします(´_`\)  ↓ ↓ ↓
最新コメント
カテゴリー