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ホロヴィッツのショパン「スケルツォ第2番」

2007.06.27 - ショパン

ホロヴィッツ

ホロヴィッツ/ピアノ名曲集


ショパンのピアノ曲に対して、新たな解釈を提示するのは難しそうだ。古典派のシンフォニーならば古楽器+ノン・ヴィヴラート奏法で新味を見出すことにまだ可能性があるのかもしれないが、ショパンでピアノ・フォルテというのはかなりの冒険なのじゃないだろうか。
木綿のユニフォームを着た野球選手がブラウン管に登場するような感じだ。もっとも、アンダーソックスを膝近くまで見せる着こなしは悪くなく、ソックスを全く見せないでユニフォームを靴までさげただぶだぶの着こなしよりは、個人的にいいと思う。
まあ、それとショパンとは全然関係ないけれど。
ショパンは、今の形のピアノを想定して音楽を書いたと思われるけど、ここ150年はピアノは進歩していないということになる。実際にはいろいろな改革があったのだろうが、私のイメージでは今のピアノの音色がショパンの音になっている。
これは、20世紀の様々なショパン弾きの影響が強いのだろうと思う。ルービンシュタインやリパッティ、ホロヴィッツやフランソワなどといったピアニストのショパンを何度聴いたかしれないし、こういったピアノの音以外のピアノの音を想像し難い。演奏はそれぞれみんな違うが、ピアノの音は今のスタイルだ。
スケルツォという曲はショパンの音楽の中でも最も有名な曲であるし、実にいろいろなピアニストが弾いているが、ことにミケランジェリによる2番は、ピアノという楽器を超えた驚きを感じさせてくれる演奏だ。アルゲリッチやアシュケナージも悪くないけれど、それを聴いた後でのミケランジェリは、軽いショックといえる。
こういうものが、クラシック音楽を聴く醍醐味だと思う。それで、しばらくミケランジェリばかり聴いていて、もうこれ以上の演奏はないのじゃないかと思っている矢先に、また異なる演奏との出会いがあって、驚かされるのもクラシック音楽を聴く楽しみだ。それが私にとってホロヴィッツであった。これが最高の演奏なのかは別としても、これは聴き応えのあるピアノだ。
もともと綺麗な女が、濃い化粧をしたような演奏。その音は満遍なく色っぽく、媚びまくっている。ピアノという楽器の性能を最大限に試したような幅広さを感じるのは、名人の手によるからだろう。なにしろケバくて、化粧の匂いが漂ってくるかのようであるが、今聴いても新鮮なのは逆に古いスタイルだからかもしれない。クラシック音楽が骨董品のようなものだとすれば、演奏が古いと言われてもかまわないわけだ。
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