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シュミットのシューマン「幻想曲」

2010.10.03 - シューマン
   
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アンネローゼ・シュミット(pf)


嫌煙ファシズムが蔓延する日本で、こういう本が出ることは快挙といえるかもしれない。
「愛煙家通信№2」を読む。
筒井康隆、島地勝彦、西部邁、倉本聰らが綴る煙草への愛着。
今の嫌煙状況は、筒井の以下の言葉に集約されている。
「現代社会の基本原理は、『排除の原理』です。これが、禁煙ファシズムにも、相撲賭博問題にも、政治家叩きにも出ている。喫煙者や相撲取りをいじめ、政治家を罵倒して痛快さを味わっている。生きた人間をいたぶるのは、嗜虐的な快感があるし、皆がやっているんだから罪悪感を感じなくてすみます。『正義』と『善』を振りかざして、嬉々としている」
とりわけ、マスコミはひどい。先週、受動喫煙でひと月に6800人が死んでいるという記事が大きく報じられていた。厚労省の報告を疑いもせずに取り上げているのである。そもそも、この数字、どうやったら証明できるのか。フシギである。
煙草は、自動車とアルコールのスケープゴート。被害の大きさよりも広告料が大事なのである。
先日、フジコ・ヘミングがテレビに出ていて、煙草を吸いながらインタビューに応じていた。この人のピアノを聴いたことはないが、やるに違いない。


シューマンは「幻想曲」をリストに献呈し、お返しに「ロ短調ソナタ」と受け取ったというが、どっちがいいかと言われると甲乙つけがたい。
昔はリストがのほうがおトクじゃないかと思っていたが、その後「ロ短調」のよさにも気づいて、今はいい勝負。ホロヴィッツは両方に名演を残している。
「幻想曲」の録音は多いが、納得できる演奏はさほど多くない。シューマンは霊感大王であって、この曲にもある種のインスピレーションが必要なのであって、その濃度が勝負というところがある。霊感ってなんぞや、と問われると説明に窮するが、シューマンの個性とも言うべき幻想世界なのダ。
シュミットのピアノは、ここでも粒立ちがよい透明な音色である。2楽章でややもたつくのは、技術的な問題なのか、恣意的なものなのか不明であるが、雰囲気は出ている。全体的にオーソドックスなテンポであって、こうした演奏のほうが、シューマンの「霊感」は濃くにじみ出るようだ。


1973年、ブルネン・シュトラーセ・スタジオでの録音。
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Comment

無題 - neoros2019

ほぼ10年煙草から遠ざかっていたんですが、どういうわけか値上がりする直前になって、舞い戻ってしまいました
ここのところの日々のバーボンと喫煙で小康状態だった身体の数値も逆戻りして何だか訳の判らない状態になっています
健康を維持することは当然ですが、生きてる実感も大切にしたいものです
2010.10.03 Sun 21:04 [ Edit ]

Re:neoros2019さん、こんばんは。 - 管理人:芳野達司

ウチの会社は、10月から喫煙室がなくなりました。値上げのタイミングと合わせて、禁煙するヒトが増えそうです。
でも仕事の合間や、酒のアテの一服はたまりません。
喫煙場所が少なくなって、面倒ですが、この快感は他に代えがたいものがありますネ。
2010.10.03 21:43

無題 - rudolf2006 in Okinawa

吉田さま こんにちは

草の根民主主義ならぬ「草の根ファシズム」が蔓延する世の中に知らないうちになってきていますね〜
タバコにせよ、検察にしろ、政治家にしろ、「悪いものは悪い」の一刀両断、この国の怖さを本当に感じています〜。

このシュミットというピアニストは、モツアルトの全集を録音した方でしょうか? シューマンとリストの曲はこれからです〜

▼・。・▼
2010.10.05 Tue 14:56 URL [ Edit ]

Re:rudolf2006さん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

いやー、まったくです。
筒井康隆によれば、喫煙者がこんなに迫害されているにも関わらず怒らないのは、タバコによってストレスが発散されているからだそうです。そう言われるとそうなのかも(!?)。千代田区と神奈川県には足を踏み入れないとも。同感ですが、会社が千代田区なのでそうもいかず。
思えば、この迫害状態はちょっと異常なことだと思います。マスコミに感覚を麻痺させられているように感じます。

シュミットは全集だったか、モーツァルトのコンチェルトを多く録音しているようです。シューマンがよかったので聴いてみたいものです。
2010.10.06 22:31
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