リッカルド・ムーティ指揮 フィラデルフィア管弦楽団湊かなえの「告白」を読む。
女性教師の娘の死をめぐる学園ミステリー。日本のミステリーにしてはページに文字がギッシリ詰まっているので読みでがあるかと思ったが、登場人物が少ないのでわかりやすいせいなのか、一気に読ませられた。
まだ映画は観ていないが、松たか子と木村佳乃が出演していることを知っていたので、彼女たちの顔を思い浮かべながら読むハメになった。
それにしても、この小説に出てくる女性は、みんなしたたかでコワイ。男は大マヌケ。
ムーティの「シェエラザード」といえば、発売当初のレコ芸の広告を思い出す。キャッチ・コピーは確か「音の豪華なゴブラン織り」。なかなかのインパクト。なんだかよくわからないが、聴いてみたくなる。「ゴブラン」とは何を意味するものか知らなかったのに。もっとも、いまもよくわからないが、とにかくゴブラン織りとやらを聴いてみましょう。
まず、オーケストラの闊達さ。金管、木管、弦、そしてソロ、みなじつに雄弁である。鳴るべきところはきっちり鳴っていて、グウの音も出ない。弦楽器はゴリゴリいっているし、金管は華やかで厚い。ソロでは、要所で素早い動きを見せるクラリネットが光る。軽やかにして柔らかい名人芸。
全体的に鋭角的なスタイルであり、録音もいくぶん尖った感じがする。
ひとつ惜しいのは、小太鼓。メタリックないい音を出しているものの、ひとつひとつの音が粒立っていない。滝のように流れる線の音だ。できれば打鍵が一粒づつ鳴ってほしかった。これは好みの問題。
ソロ・ヴァイオリンはノーマン・キャロル。切っ先鋭いつややかなヴァイオリンが、ムーティの都会的に洗練された演奏に華を添えている。
1982年2月、フィラデルフィア、オールド・メットでの録音。
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