「荻窪音楽祭」の一連の催しのなかから、沢木良子さんのピアノ・リサイタルに足を運びました(2019年1月28日、杉並公会堂小ホールにて)。
彼女は留学期間を含めて長いことフランスに居住していたようで、演目にもそれはあらわれていました。なかでも面白かったのは、後半のラヴェルの「高雅で感傷的なワルツ」。
この曲は管弦楽版よりピアノによるものが好きで、ここのところよく聴いています。彼女の演奏はダイナミックにつけた強弱のバランスと、テンポを細かく揺さぶった結果湧き出るニュアンスに妙味がありました。ホールを満たした、いわゆるフランスの香りに酔いました。生だということもあるけれど、リヒテルのピアノに比肩するところは、いくつもあったし、特にテクニカルな面においては上回っていたと思います。
あと、アンコールでやったリストの「リゴレット・パラフレーズ」は気持ちがよかった。技術的にかなり難物であろう曲ですが、細かなフレーズを難なく捌いていて、切れ味よく煌びやかに弾きぬきました。
全体を通して、あとになるに従って技が冴えてきたように感じられ、後味のいいリサイタルでした。
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