ムーティ指揮シカゴ交響楽団の東京公演に足を運びました(2019年2月3日、東京文化会館大ホールにて)。
シカゴ響はこの世で最も好きなオーケストラ。「好きなもののひとつ」という但し書きはいらないくらい。といいつつ、今まで2回しか聴いていないし、およそ25年のご無沙汰。メンバーはガラッと変わっているようで、とても楽しみにしていました。
チャイコフスキー 交響曲5番
R・コルサコフ 「シェエラザード」
ムーティによる5番はフィルハーモニアとの演奏に親しんできましたが、さすがに40年以上の隔たりがあると違います。
彼の音楽には歌心があるとよく言われてきましたが、この日の演奏ほどそれが顕著なものはなかった。とりわけ1,2楽章は、いささか驚くようなたっぷりとしたテンポ設定。でも、緩急と強弱が自然であるから、全くもたれない。甘い情感に浸っているところへ、一転、金管群が咆哮。パワフルでキレのいい響きは、音楽に深いコントラストを与えていたと思います。
こんなにいい5番を聴いたのは、たぶん初めて。
シェエラザードも前半はふくよかに抑揚がつけられた演奏。ただ、この曲を聴いていつも思うのは、楽章間の連関が、ありそうで実は薄いのじゃないかということ。推進力が弱いので、退屈しやすい。先のチャイコフスキーの後だと、尚更感じます。
とは言いつつ、4楽章においての、全楽器による音の大伽藍的な音響は、やはり華がありますね。
そして、コンマスのチェンによるソロは毅然としていて立派。ラストで、ボウイングの上下でも音が途切れないところは見事でした。
シカゴ響の性能は、ホルン以外は最高。
ファゴット、クラリネット、オーボエ、フルートといった木管楽器群の闊達さには目を見張ったし、トランペット、トロンボーン、チューバの、白光りするような鳴りっぷりは、ショルティの頃から変わらないと感じました。
弦楽器は、メイン・プロも切っ先鋭くてよかったけれど、アンコールの「フェドーラ」間奏曲では蕩けるように艶やかな音色を聴かせてくれました。
77歳のムーティ、素晴らしかった!
機会があれば、また聴きたいと思います。
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