飯守泰次郎指揮 新交響楽団・他の演奏で、ワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」抜粋公演に足を運びました(2019年1月20日、東京芸術劇場にて)。
池田さんのイゾルデということで大きな期待をしていましたが、やはり裏切らない!
前回に聴いたのは3年ほど前、これは舞台での全曲でした。可憐で、ふくよかで、なおかつ力強い歌声は会場の隅々にまで響きわたり、陶酔させられました。
オーケストラの後ろに歌手陣は配置されていたものの、彼女の声は管弦楽の大音量を超えて客席に響いた。文句のつけようがない歌唱でした。
あと、ブランゲーネの金子さんも素晴らしかった。頭脳は明晰だけれどお人よし。こんな印象をブランゲーネにもっていますが、裏腹に、とても毅然とした佇まいだった。なにしろ、高音の伸びがすばらしく、これは池田さんにも当てはまりますが、タイプは違うものの往年のルチア・ポップを思い出させました。
男性ではメロートがよかったかな。憎らしい雰囲気をうまく醸し出していたように思う。
マルケ王は若々しい。もっとも、原作では50歳未満だそうだから、これくらいでいいのかな。
クルヴェナールは、ここでは出番が少なかったけれど、生きのいい歌声を聴かせてくれた。
新交響楽団は万全。響きがまろやかで、奥行きがある。
よく、アマオケを指して「アマチュアにしては上手い」などという云い方がされますが、はっきり、そんなレヴェルではないです。
飯守さんはまずまず。彼を聴くのはオペラを含めて3度目だけど、今のところは驚嘆するほど凄いとは思わないな。
トリスタン:二塚直紀
イゾルデ:池田香織
マルケ王:佐藤泰弘
ブランゲーネ:金子美香
クルヴェナール:友清崇
メロート:今尾滋
牧童:宮之原良平
舵取り:小林由樹
コレペティトール:木下志寿子
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