
ショルティ指揮シカゴ交響楽団・他の演奏で、ヴェルディのレクィエムを聴く(1977年、シカゴ、オーケストラ・ホールでの録音)。
ショルティの二度目のヴェルレクはシカゴと。RCAでの録音である。ステレオ時代以降にショルティがデッカ以外で録音するのは珍しいのじゃないかと思う。あと思いつくのは「ボエーム」くらい。他にあるか知ら。
さてこの演奏、バリッとメリハリのあるスタイルを通しており、期待を裏切らない。やや金属臭のあるオーケストラと、細やかなハーモニーを織りなす合唱とがうまく溶け合っており、折り目正しい。硬めの筆で書いた楷書のようだ。両者の目指す方向が一致している、というか指揮者の統率が冴えわたっている。
「怒りの日」における大太鼓の咆哮の強さはトップクラス。いままで聴いたなかでは、トスカニーニ/NBC響、あるいはジュリーニ/フィルハーモニアに並ぶと思う。皮の震えを、録音が明瞭に捉えている。ここは、こうでなければならない。
歌手はそれぞれ味を出している。プライスは声の甘さと、ときおり古めかしく崩すところは、ショルティのスタイルに合わないような気がしないでもないが、これはこれで魅力がある。ルケッティは声がよく、キリエこそいまひとつだったが、中盤以降だんだんよくなってくる。ベイカーは悪くはないけれど、声そのものの魅力はちょっと薄い。ダムはどっしりと力強く安定していていて、やや硬めの声質がオーケストラの音色に合っているようだ。
レオンタイン・プライス(S)
ジャネット・ベイカー(MS)
ヴェリアーノ・ルケッティ(T)
ジョゼ・ヴァン・ダム(B)
シカゴ交響合唱団
マーガレット・ヒリス(合唱指揮)
パースのビッグムーン。
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