グッドール指揮ウェールズ・ナショナル・オペラ管弦楽団・他の演奏で、ワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」を聴きました(1980年11月、1981年1月、スワンシー、ブラングウィン・ホールでの録音)。
「クライバーが讃え、ショルティが恐れた男」。
これは、グッドールを評した言葉。山崎浩太郎さんによるこの著作はまだ読んでいないので、ショルティが何故恐れたのか定かではありませんが、ライバル意識だったとするとわかるような気がしないでもない。この「トリスタン」はいい。
ゆっくり目の足取りで音楽を進めていき、呼吸はたっぷりと深い。弦は手厚く、土台をがっちりと支えている。エッジは丸い。高揚するシーンにおいては、テンポを上げるような煽りはしない。どっしりとしていながら自然な流れに、血が湧き立つような感覚を覚える。
歌手ではイゾルデ。肉厚の声は艶と潤いがあるし、パワーもある。トリスタンは少しオッサンっぽいところがあるような。マルケ王は深く、澄んだ声。ブランゲーネ、クルヴェナールは安定感があります。みんなそれぞれオーケストラと溶け合っていて、違和感がない。じゅうぶんにドラマティックでもある。要は、全体としてのまとまりがいい。
味わい深い「トリスタンとイゾルデ」の演奏だと思います。
ジョン・ミッチンソン(トリスタン)
リンダ・エスター・グレイ(イゾルデ)
グウィン・ハウエル(マルケ王)
フィリップ・ジョル(クルヴェナール)
アン・ウィルケンズ(ブランゲーネ)
ニコラウス・フォルウェル(メロート)
アーサー・デイヴィス(牧童)
ジェフリー・モーゼス(かじとり)
ジョン・ハリス(若い水夫)
ウェールズ・ナショナル・オペラ合唱団
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