苫米地英人の「立ち読みしなさい!」を読む。
「お金は全て資産を使うことだけにフォーカスしてください。それでは本書で話す『資産』とは何か? それはズバリ!、『自己投資』です。」
夢を叶えるには、ステップがある。それは、
1.心から叶えたいと思う夢をゴールとして設定する。
2.自信を持つ。
3.抽象度を高くして行動する。
の3つ。
あたりまえだと思いつつ、それぞれの理由がいかにも認知科学者らしく説明されていて、面白く読める。
ひとつだけ例をあげると、「ホメオスタシス」なるものの存在。
これは恒常性維持機能といい、現状維持を司る門番として、自分が変わらないよう見張っているものだという。人間はだいたいがコンフォートゾーン(自分の居心地のよい空間)をもっている。だから今の現状を、安定していて居心地がいいと感じる。ホメオスタシスは強力なので、変わるのは難しい。
だから、ホメオスタシスを打開するには、コンフォートゾーンを自分の行きたいところ、つまり夢に持っていくことが肝要であるとのこと。これが、本書のキモ。
amazonのカスタマー・レビュー81のうち、ほとんどが満点をつけている。わかりやすいところが高評価の要因か。
ただ、この本もそうなのだが、成功例にイチローやビル・ゲイツを引き合いに出すと、現実味が乏しくなることは否めない。
フィリップ・ジョルダン指揮パリ・オペラ座管弦楽団の演奏、ニーナ・ステンメのソプラノで、ワーグナーの「ニーベルンクの指環」管弦楽作品集を聴く。
(2013年6月、パリ、バスティーユでの録音)。
収録曲は以下の通り。
1.「ラインの黄金」より「前奏曲とワルハラ城への神々の入場」
2.「ワルキューレ」より「ワルキューレの騎行」
3.「ワルキューレ」より「魔の炎の音楽」
4.「ジークフリート」より「森のささやき」
5.「神々の黄昏」より「ジークフリートのラインへの旅」
6.「神々の黄昏」より「ジークフリートの葬送行進曲」
7.「神々の黄昏」より「ブリュンヒルデの自己犠牲」
フィリップはアルミンの息子として、1974年にチューリヒで生まれた。当初はピアニストとして活動したが、ジェフリー・テイトやバレンボイムのアシスタントなどを経て、2009年にパリ国立オペラ座の音楽監督に就任。
初めて聴く指揮者であるが、面白い。彼は音楽にメリハリをはっきりとつけ、副声部をしっかりと浮き立たせて、全体像に立体感をもたらす。緻密で見通しのよいワーグナーを作っている。
このオケは、響きはそこそこ厚いものの、音色は明るめ。そしてヴァイオリンを対抗配置にしているため、不思議と愉悦感のある音楽に仕上がっている。いくぶん管楽器が前面に出ているところはフランスのオケらしいし、ハープやシンバル、ティンパニの音は、風に乗るタンポポの種みたいにラヴリー。
声は最後の「ブリュンヒルデの自己犠牲」にのみ登場。このステンメが目覚ましい。声そのものはやや渋めのトーンであるがスケールが大きく、それがしなやかで雄弁なオーケストラと相俟って、強烈なまでに劇的な音空間を展開している。
彼女のドラマティックな歌唱は、あたかも魂が煮えたぎるようであり、感情移入しないわけにいかない。
現代最高のワーグナー・ソプラノの名に恥じない、これは名唱である。
春。
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