カルロ・マリア・ジュリーニ指揮 ロスアンジェルス・フィル河童橋。
上高地の見どころのひとつであり、たくさんの人で賑わっている。橋そのものは、それほどたいしたものではないように思ったが、まわりの景色がすばらしい。
うしろに見えるのは穂高連峰。登山者の垂涎の的であるらしく、これから挑戦するらしい重装備の人をみかけたが、軟弱なわれわれの終点はこの橋なのである。
芥川の小説の舞台になった橋。読んでおけばよかったな。
「アメリカのジュリーニ」、第4弾。
ジュリーニは「マ・メール・ロワ」を得意にしていたようで、オーケストラを替えて3回録音しているし、来日公演でも取り上げている。
この録音でも、ロス・フィルの乾いた音色を生かした、鋭敏な響きを聴くことができる。木管楽器はとてもスマートであるし、弱音器をつけた弦楽器もしみじみ美しい。
終曲の「妖精の園」は、弦楽器による出だしから感動的。ソロ・ヴァイオリンに涙がちょちょ切れる。
アドリブを許さないジュリーニの、計算され尽くした人工的な技がうまくはまっている。どこかをつついたら壊れてしまいそうな神経質な音作りが、ラヴェルの音楽によく合っていると思う。
1979年11月、ロス・アンジェルス、シュライン・オーディトリアムでの録音。
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