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レヴァインたちによるモーツァルト「ピアノ四重奏曲第1番」

2008.11.15 - モーツァルト

mozart

モーツァルト ピアノ四重奏曲第1番ト短調K.478
ジェームス・レヴァイン(Pf)
ロバート・マン(Vn)
マイケル・アウゾニアン(Va)
リン・ハレル(Vc)



重松清の「ビタミンF」を読む。
7つの短編からなる本で、家族の絆をテーマにしている。全て主人公は、平凡な家庭に収まっている中年男。
子どものいじめとか、不良化とか、親の熟年離婚とか、過去の恋愛話など、どこにでもありそうだけどやっかいな問題に巻き込まれてゆく。身もココロも昔とは違う、少々くたびれたオジサンが家族を守るために世間に向かって立ち向かってゆく。痛々しいけれど、少しかっこいいオトウサン。
ひとつ解決したからといって安心してはいけない。今後も問題だらけのジンセイなのだ。


冒頭からモーツァルトの「ト短調」が炸裂する。アインシュタインはこれを「運命のモチーフを呼んでも正当であろう」と言っているが、じつに端的で、鋭く胸に食い込んでくるメロディーである。緊張せずにはいられない。
弦楽五重奏や交響曲と同様に、スタートからぶっちぎりにテンションが高く、それは力を緩めることなく楽章の最後までたたみかける。この演奏では14分かけられているが、とてもそんなに時間がたっているとは思えないほど、あっと言う間に感じる。
2楽章は穏便でゆったりとしているが、底にある厳しさがそこはかとなく感じられる。
一見、明るいようだけれども、不安感を湛えた音楽である。どうにもつかみがたい、なんともいえない表情だ。
終楽章のピアノの旋律は掛け値なくすばらしい。モーツァルトの数多くの作品のなかでさえ最上級なのではないだろうか。
そよ風のような軽快さと、心地よい幻想味。半音階で上昇する音階は、シューマンの到来を思わせないでもない。ただし、ずっと洗練されて軽やかなシューマンである。
この曲があれば、つまみはいらない。何度も何度もくりかえし聴いて酔うばかりである。
レヴァインの粒の立ったピアノは明快。マンを始め弦楽器は深い響きを醸し出していて緻密、そして気合じゅうぶん。


1978年1月、シカゴでの録音。

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