モーツァルト 交響曲第35番「ハフナー」 クーベリック指揮バイエルン放送交響楽団「14歳の子を持つ親たちへ」は、内田樹と名越康文の対談集。
子育ては大変な仕事であると言われるし、実際に簡単ではないことが多いわけだが、育つのはじつに早い。まったなしに早い。生まれたのが、つい昨日のように思えるのに、もう大学受験をするようなトシになっている。まあそれはちょっとおおげさだけど、早いことは間違いない。
そんななか、自分の子供がこれからきちんと生きていけるように育てられたのかと言われれば、まだわからない。というか、なにをもってゲームセットとなるのかしら。
まあ、人生山あり谷ありクロードチアリ、いろいろ紆余曲折があろうが、ワタシが夜な夜な街を徘徊するようになった暁には、介護してくれたらイイナ。
クーベリックの「ハフナー」交響曲は、清冽な演奏。
もちろん、モダン楽器による厚い響きを基調にした、20世紀巨匠風スタイルである。ヴァイオリンが明確に聴き分けられる対抗配置が、随所で効果をあげているところは、いつものクーベリック。
対抗配置だと、高音と低音との輪郭がボヤけがちになるデメリットがあるから、じつはどちらを取るか悩ましい。曲によっても、向き不向きや聴き手の好みがある。対抗配置は一般的に19世紀までの音楽に向いていると思うのだが、一概には言えないことは、過去のさまざまな演奏が証明している。それはモーツァルトに関しても言えること。
この曲に関して、もし、クーベリック盤の演奏が、ストコフスキー配置によるものであったとしても、この演奏の素晴らしさはたぶん変わらないだろう。
バイエルン放送響は相変わらずバランスがいい。ベルリン・フィルの重たさはときに胃もたれを起こすが、このオケはそういうことはない。
弦のつややかで芯のある音色が紡ぎあげる、スピードの乗った躍動がすばらしい。
1980年、ミュンヘン、ヘルクレスザールでの録音。
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