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東京に春、バーンスタイン、モーツァルト"25番"

2015.03.30 - モーツァルト






江戸川公園。桜は満開、オトメツバキも咲こうとしている。



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バーンスタイン指揮・ピアノ、イスラエル・フィルの演奏でモーツァルトのピアノ協奏曲25番を聴く。

モーツァルトのピアノ協奏曲は宝の山である。初期の作品はあまり知らないものの、15、17、18、19、そして20番台は全ていい。コンチェルトだけでこれだけの功績を残せたのは彼だけであろうし、さらにモーツァルトにはオペラ、交響曲、室内楽がある。聴きつくせないし、語りつくせない。

そのうち好みは強いて言えば、23番、25番、27番。どれも快活な音楽だ。
23番はハイドシェック/ヴァンデルノート盤やバレンボイムがイギリス室内管とやったもの、25番はアンダの演奏、あるいは、バレンボイムがクレンペラーの指揮で弾いたものもなかなか面白い。27番は、ゼルキン/オーマンディ盤とカーゾン/ブリテンで決まり。あれら以上の演奏が、そうそう可能とは思えない。

このバーンスタインの演奏は活発であるが、聴きどころは音楽がぐっと落ち着いて鎮静したところにあると思う。1楽章ならば、展開部以降。憂愁が濃く、バーンスタインの背中には生活の疲れのなかから、いくぶんかの喜びが迸っているような、そんな按配なのである。録音が若干くぐもっているせいか、ピアノもオーケストラも、いささか鈍重に聴こえなくもない。それがこの演奏では、短所でありつつ長所となっていると感じる。

カデンツァは聴いたことがないので、おそらくバーンスタインが作曲したものと思われる(間違っていたら、ご指摘ください)。濃厚で、柄の大きな音楽である。25番のスタイルにふさわしい。

2楽章は、この演奏の白眉と思われる。バーンスタインのピアノは、際立ってうまいわけではないが、センスがいい。フレーズの合間に装飾音を散りばめているところ、それも、1回目と2回目、3回目とそれぞれ変化して弾くところは、とても楽しい。作曲家ならではの工夫だろう。いままで聴いた、この2楽章のなかで、これがもっとも面白い。

ときにバーンスタイン56歳。ニューヨーク・フィルを辞めて、次のステップに歩もうとしている時分か。ここにはすでに晩年の境地が見え隠れしている。




1974年11月、テル・アヴィヴ、マン・オーディトリアムでの録音。



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快晴。










「ぶらあぼ」4月号に掲載されました!












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Comment

お早うございます… - rudolf2006

芳野さま お早うございます…

もうすぐ葉桜の季節になりますか…
小生は「葉桜」が意外に好きですね… 枯れと生の息吹が共生しているようで…

バーンスタインのこの曲のライヴ
高校生の時に聴きました、珍しく高いチケットをバイトして買って行ったのに…爆
オケの方にピアノを向けて演奏していました
その方が指揮しやすかったんでしょうね…
この曲とマーラーの5番のプログラムだったです
昔はアメリカのオケは平土間にすべて座っていたのですよシカゴも、ニューヨーク・フィルハーモニックも…

私の今の推測ですが、バーンスタインは忙しかったので、ピアノ練習はあまりしていなかったようですね、きっとリハ1回と本番しか弾いていないのではないかと…
だから、段々と指が回るようになってきて、楽章が進むほど演奏に深みが出てきていたのではないかなと…
ひょっとすると、レコーディングでも同じ事情だったのではないかな…と

ピアノの音はライヴでも、本当に柔らかい音で
マーラーとはまったく違う世界だったと…
今もピアノの前で嬉々として演奏している後ろ姿が瞼に浮かぶような気がします
(年ですね…爆)

▼・。・▼
2015.04.06 Mon 05:21 URL [ Edit ]

それはうらやましい。 - 管理人:芳野達司

rudolf2006さん、おはようございます。

一昨日は花見をやりました。すっかり葉桜でしたが、人出は多かった。桜並木のわきに神田川があるのですが、川筏が壮観でした。儚いですね。

バーンスタインの25番を聴かれたのですね。それとマーラー5番、おいしいプログラムです!
いつだったか、グルダが最後に来日したときにモーツァルトの20番をやはり弾き振りしたのです。そのときも、オケの方にピアノを向けて演奏していましたね。ピアノの音がいまひとつだと思うのですが、あのようなスタイルが一般的なのですかねえ。
アメリカのオケは平土間だったですか。それは知りませんでした。いまはどこも雛段になっていますね。
バーンスタインは、晩年のマーラーの9番を聴いたのみです。ピアノも聴きたかったものです。
2015.04.06 10:54
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