モーツァルト「コジ・ファン・トゥッテ」 クイケン指揮ラ・プティット・バンド日垣隆の「いい加減にしろよ(笑)」を読む。
細木数子や平山郁夫から、警察、NPO、少年法などの鑑定。実体験や数字を用いて具体的に書かれているので、普段全く気にしなかった事柄であっても問題点がわかりやすい。
ことに三宅島についての考察は興味深い。著者は朝起きて突然思い立ち三宅島に赴く。時に2005年、避難規制は解除されており誰でも島に入ることができる。そこにはなにがあるのか。
「三宅島には四年半前も今も、二酸化硫黄と硫酸が降り注ぎ続けている。硫酸が島中に降り注ぎ、建物や車や自動販売機はどうなったか。車も、自販機も、硫酸で文字通り溶けてしまっています。ときどき、そのような場所に遭遇するのではありません。あたり一帯が、そうなのです」。
三宅島観光協会のサイトによれば、ガスマスクの常時携帯が2009年の今も義務付けられている。
島に帰りたいという心情と自然の険しさ。それを政治が捌く難しさ。
クイケンの「コジ」を聴くのは久しぶり。
現在はブリリアントから再発売されているが、私が購入したときもそうとうな廉価であったと記憶している。もしかしたら今よりも安かったかもしれない。
安かったからではないが、1度聴いたきりで放置状態であった。当時はあまりピンとこなかったらしい。
最近になってまた聴きたくなり、IPODにぶち込んで毎日聴いている。これはライヴ録音なのだが、いわゆるライヴ臭が皆無で、なにも言われなかったらスタジオ録音だと思い込んでいただろう。聴衆のノイズや拍手がないうえに、声楽、オケともども技術にスキがないのだ。すごく精度が高い。
またこの演奏は古楽器によるものであるが、古楽器特有のアクが少なく、響きの自然な広がりはモダン楽器に引けをとらないように感じる。
テンポは急がず緩まずほどよい塩梅。
歌手陣はみな安定している。これだけソロ歌手がそろえば、強烈な歌い方や声を発するヒトがひとりくらいいてもよさそうであるが、みんな中庸を貫いている。バランス感のよさではこれ以上の演奏は難しいのじゃないだろうか。
逆に、あまりに揃っているので、ちょっと人工的に聴こえるところはあるかも。
ソイレ・イソコスキ(フィオルディリージ)
モニカ・グロープ(ドラベッラ)
ナンシー・アージェンタ(デスピーナ)
マルクス・シェーファー(フェランド)
ヒューブ・クレーサンス(ドン・アルフォンゾ)
ペール・フォレスタット(グリエルモ)
ラ・プティット・バンド&合唱団
シギスヴァルト・クイケン(指揮)
1992年10月7日、ブダペスト、リスト音楽院でのライヴ録音。
PR