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カーゾンのモーツァルト「ピアノ協奏曲第27番」

2007.10.01 - モーツァルト

Curzon

モーツァルト ピアノ協奏曲集 カーゾン(Pf) ブリテン指揮 イギリス室内管弦楽団


今日は振り替え休日だったので、電車で10分ほどにある大きな書店へ。「ダヴリン市民」を探したが、岩波にも新潮にもない。少し前に行ったときは、お約束のように本棚に鎮座していたのに。一昨日の新聞で「のっぽさん」が薦めていた影響かもしれない。かくいう私もそのクチである。
喫茶店で、選んだ城山三郎の「官僚の夏」を少し読んでから帰宅。平日なので家には誰もいないとはいえ、行動パターンはいつも通りなのは、いいことないか悲しいことなのか。
花村萬月の「笑う山崎」を再読。インテリヤクザが主人公であり、暴力シーンがすごい。倫理もへったくれもない話だが、ある意味で人間の本能というか性質を掬い上げているので、ところどころナットクしながら読み進んでしまった。

こういう本を読みながらモーツァルトもないものだと言われるかもしれないが、音楽には思想はないというのが私の考えなので、かたわらで読む本が、哲学書だろうとポルノ物だろうといいのである。
拷問シーンを読んでいて流れてくるモーツァルトのアレグロは最高だ、ということは特段ないけれど、合わないということはない。
カーゾンの弾くモーツァルトは控えめ。気持ち遅めのテンポをとり、軽やかさよりは重厚さを感じる音を聴かせる。ふっと音を落としたときの響きが絶妙だ。とりたてて美音というわけではないのに、なんともいえない繊細な弱音であり、とても重い意味があるかのようだ。そのすごさは、ところどころに点在するように潜んでいるから油断できない。この人のピアノは、渋いので良さがわかるまで時間がかかるけれど、楽しく聴けるようになると、他にかけがえのない個性がある。
ブリテンのオケは、これも大げさなものとは無縁の、落ち着いた音楽であるが、存在感はピアノよりむしろ大きなもののように感じる。これといって特別なことはしていないように思えるが、感動させる音楽というのはそういうものなのだろう。ヴァイオリンの響きがいい。なんというか決然としたものがあり、痛切ですらある。これは死の影をそう遠くないところに感じたモーツァルトの叫び声だ、なんていうのは穿ちすぎの解釈だけど、そんなことを思わせるほどブリテンの指揮がすごいのだ。
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Comment

無題 - rudolf2006

吉田さま お早うございます。

「ダブリン市民」は売り切れですか、売れているのかもしれませんね。花村萬月は、私はまだ一冊も読んだことがありませんが、面白そうですね~。

モツアルトの27番のコンチェルト、まさに白鳥の歌と言っても良い作品ですね。あの3楽章を聴くと、喜びの中に哀しみも感じるような気がします。私は、ゼルキン師のオーマンディの伴奏盤が一番好きです(というか、他は最近はLP時代ほど色々と聴かなくなってしまっているんですが)。
カーゾンというピアニストは、LP時代には聴いた記憶があるのですが、最近はまったく聴いたことがありませんでした。モツアルトをまとめて録音している見たいですね~。
一度聴いてみたいなって思っています。

ブリテンが存命の頃は、モツアルトを指揮したLPが何枚も出ていたように思うのですが、40番のシンフォニーも割と評判になっていて、LPは持っていたような気がします。良いモツアルトであったという記憶があるのですが、最近、記憶も不確かで、爆~

ミ(`w´彡)

2007.10.02 Tue 09:24 URL [ Edit ]

Re:rudolf2006さん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

コメント、ありがとうございます。

「ダブリン市民」、店頭には見当たらなかったです。別に買いたいと思わないときはあるのに、ここぞというときにないものです。
花村萬月は、一時期はまっていました。ジョイスとはもうまったく違う世界なのでしょうけれど。

>27番のコンチェルト、まさに白鳥の歌と言っても良い作品ですね。あの3楽章を聴くと、喜びの中に哀しみも感じるような気がします。

おっしゃるとおり、フシギな悲しみを感じます。モーツァルトならではですかね。
ゼルキン盤、あるのは知っていますが、たしか聴いていません。オーマンディの伴奏のほうを聴いてみたいものです。

カーゾンは録音嫌いらしいのですが、その割にはけっこうな数のCDがあるようです。あまりよく知らないのですが、持っているCDはみんないいので、注目しています。
ブリテンのモーツァルトは評判高いですが、この27番はもうこたえられません。交響曲も聴いたことがあるような気がしますが、忘れ去りました…。
2007.10.02 19:49
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