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シノーポリのウェーベルン「管弦楽のための5つの小品」

2007.09.29 - ウェーベルン

Sinopoli

ウェーベルン 管弦楽曲集 シノーポリ指揮 ドレスデン・シュターツカペレ



読売新聞の毎土曜日の夕刊に「週刊KODOMO新聞」というコーナーがある。今週は、ジョイスの「ダヴリン市民」が掲載されていた。

週末になると、なんだかむしょうに古典小説を読みたくなるときがある。
最近、光文社文庫から新訳がいろいろ出ていて興味深い。なかでも学生時代に新潮文庫で読んだことのある「カラマーゾフ」、この新訳では古典本では異例のベストセラーになっているとのこと。木曽さんは読破されたそうなので、自分ももう一旗(??)あげたいところ。
で、ジョイスだが、なんとあの「のっぽさん」が書いている。『それから数年後、そろそろ"駄目なひと"、を自認していた私はこの本を開いては「あーあ、よくも書いてくれたもんだ。この男、娘、おじいさんもおばあさんも、みんな俺だよ。参ったなあ」とため息をついていた』なんてある。ひとは誰でも自分を駄目なひとだと思うものだが、のっぽさんまでがそんなことを思っていたとは軽く意外であって、ますますこの本を読みたくなった。
ギネスビールと合わないわけがない。

シノーポリのウェーベルンは、繊細でありながらふっくらとした響きを生かした演奏。ダイナミックは激しくないが、自然な流れがいい。
ドレスデンのたっぷりとした豊満な音が、なんともぜいたくで、これは指揮者の裁量よりもオケの個性が強くはっきり出ているのじゃないかと思う。
「5つの小品」は、「6つの小品」と比べてさらに研ぎ澄まされた感覚をもった超省エネ音楽であり、より地球に優しいかもしれない。異常な緊張感を強いられる「ラングザーム」という大曲(といっても数分)をもつ「6つ」に比べると、「5つ」はそれぞれの曲があまりにもあっさり終わってしまうが、不思議に密度の濃い曲で、一瞬たりでもききのがすと、結末がわからなくなる。
これは、気のきいた掌握小説を読む楽しみだ。
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Comment

無題 - sweetbrier

こんばんは。
私は「夏の風の中で」に惹かれて、吉田さんが取り上げられたのと同じ音盤を買ったのですが、「6つの小品」、「5つの小品」はもちろん、それ以降の作品には戸惑いました。

> 不思議に密度の濃い曲で、一瞬たりでもききのがすと、結末がわからなくなる。
> 気のきいた掌握小説読む楽しみだ。

…!、なるほどです。合奏という感じじゃなくて、それぞれの楽器がエッジの立った不思議な音楽を奏でてる(というか、音を出してるというか)。
何もかも放り出して聴き倒したら、固い頭がほぐれるかなあ、なんて思いました。
2007.09.29 Sat 22:43 URL [ Edit ]

Re:sweetbrierさん、こんばんは。 - 管理人:芳野達司

コメントありがとうございます。

sweetbrierさんの記事を拝見し、家にあるのを思い出したCDです。忘れるほどたくさんは持っていないなずなのですが…。忘却機能が発達してきました。
1曲目が「夏の風の中で」でホッとします。今聴くと、過ぎ去った夏の感触が思い出されます。
「パッサカリア」以降は、とっつきにくい曲ばかりですが、音の流れに身をまかせて聴くのがよいようです。音の鮮烈な響きにハッとさせられることしばしばです。
2007.09.30 00:11

無題 - rudolf2006

吉田さま お早うございます。
今朝は急に冷え込んでいます。あれほど暑かったのに、です。
こういう天気の日は、古典かもしれませんね、あの『カラマーゾフ』、アマゾンで見つけてすぐに注文しましたが、第1巻の途中で頓挫しています、爆~。
ウェーベルンのこの曲、聴いたことがありません、爆~。なのにコメントを書いてしまいました、申し訳ありません;
新ヴィーン楽派、まとめて聴いてみたい気もしていますが、そこまではまだ遠いです。
吉田さんに触発されて、クーベリックのマーラー全集を注文してしまいました、爆~

ミ(`w´彡)
2007.09.30 Sun 09:09 URL [ Edit ]

Re:rudolf2006さん、おはようございます。 - 管理人:芳野達司

コメントありがとうございます。

急に涼しくなりました。関東では朝から雨です。
『カラマーゾフ』、注文されましたか。すごく興味深いのですが、何年かかるのかと思うと気が遠くなってまだ購入できていません。

ウェーベルンのこの曲、とてもいい曲です。5分程度の長さが心地よく、これが1時間も続いたらちょっとつらいかもしれません。

>クーベリックのマーラー全集を注文してしまいました

さすがです!
私は単品で少しずつ集めてみます。
2007.09.30 11:48

無題 - 木曽のあばら屋

こんにちは。
光文社古典新訳文庫は、なかなか興味深いラインアップで目移りしますね。
最近出たのでは、スタンダール「赤と黒」とカフカが気になってます。
ウェーベルンの作品10、こちらのサイトでスコアを見ることができますが、
http://imslp.org/index.php?title=Category:Composers
見ながら聴いてもやっぱりわけがわかりません・・・。
2007.09.30 Sun 17:34 URL [ Edit ]

Re:木曽のあばら屋さん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

コメントありがとうございました。
というか、勝手にリンクさせていただきまして、事後報告で恐縮です。
光文社古典新訳文庫は、実に目移りします。「赤と黒」、カフカでは「変身」が出ていますね。今まで読んだことのないもの含め、あのシリーズは興味深いです。
ウェーベルンの楽譜のサイトがあるのですね、知りませんでした! 少し前から彼の管弦楽曲に惹かれていますが、このスコアを見ながら聴けばまた新たな面白さを発見できそうです。
2007.09.30 21:44
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