メンデルスゾーン ヴァイオリン協奏曲 ズーカーマン(Vn) バーンスタイン指揮ニューヨーク・フィルひろさちやの「『デタラメ思考』で幸せになる!」を読む。
目次をさっと眺めるだけで、なかなかの内容であることが想像できる。
「世の中の役に立つ人間にならなくていい」、「世間を馬鹿にする」、「ほとけさまはデタラメです」など、ジンセイの多くの時間を会社で過ごしている身にとっては、新鮮なものがある。
先週に読んでいたユニクロ会長の「一勝九敗」とは対極の世界がここにある。
特に面白かったのがこの部分。
「五十人が太平洋のど真ん中で溺れているとします。したがって、この五十人を助けることができるのはほとけさまだけです。太平洋のど真ん中だから、人間の救助活動は間に合わないのです」。
「さて、ほとけさまは、五十人のうち誰から先にたすけられるでしょうか」。
答え。
「近くにいる人から順番に救助される」。
ズッコケそうになるが、なるほどとも思う。
ジンセイが理不尽なことの理由のひとつがこの答えにあるのかも。
初めて買ったメンコンのLPがこれ。
ズーカーマンという名前を知らなかったのにこのLPを選んだのは、見開きだったから。
時代は80年代に入ろうかという頃、見開きのLPは少なくなってきていた。どうせ同じような値段で買うのなら豪華な見開きがいい、そういう理由で選んだのだった。
演奏の評判は二の次なのであった。というか、よく知らなかった。
これが彼のデビュー盤であることを知ったのは、ライナー・ノーツを読んだとき。コーホー氏の気合の入った解説だ。
このズーカーマンを始めとして、パールマン、バレンボイム、キョン・ファたちが新しい時代の旗手であることを熱く語っている。彼らの名前を知ったのは、このライナー・ノーツだった。
この録音は彼が二十歳そこそこのものであるが、すでにスタイルが確立されているようだ。
ゆっくり目にとったテンポ、自然な歌、澄んだ音色。
マツヤニの匂うようなナマナマしい音色は同世代のパールマンと似ているが、ズーカーマンの音は重量感のある低音に魅力があるように思う。ズッシリとしていて深くえぐるような音色は彼ならではのスタイルだ。
バーンスタインの落ち着いた伴奏、それにホンワカとした録音と相俟って、ふくよかなメンデルスゾーンを楽しむことができる。
1969年2月6日、ニューヨークでの録音。
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