メンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲」 ミドリ(Vn) ヤンソンス指揮ベルリン・フィルヒマをみては「うつ」に関する本を読み漁っている。
文庫・新書レベルであれば、だいたいどれも似たようなものじゃないかとタカをくくっていたが、ザックリ言えば大きくふたつの傾向に分かれるようだ。
ひとつは、主に対人関係についての読み物。いやなことがあったらクヨクヨするなとか、クヨクヨしろとか、起きたものごとの受け入れ方についての指南めいたことが書かれている。専門的な用語は使われていないので、読みやすい。
もういっぽうは、精神医学とか心療内科の見地から、生活習慣の改善や薬物療法など具体的な対処が書かれているもの。こちらは、専門用語が多く、なかには気軽に読めないものもある。
野村総一郎の「うつ病をなおす」は、後者にあたるが、語り口が柔らかいので、疲れているときでもわりと読みやすい。
なかでは、「パターン脱却法」についての記述が面白い。
これは、自分が「ウツ的思考パターン」に陥る事象を洗い出し、一日に発生した回数をカウントする、という療法。ウツになるのは、当該事象を「否定」するから起こる。だから、その事象に対する態度を「否定」するのではなく「妥協」することを考えるわけだ。それを、計画的に実行していくことで、改善していく。
ただ、インスタントな効果は期待できないし、場合によっては認知療法の専門家のサポートが必要になるとのこと。
実践するにはいささかややこしそうだが、少し納得できた。
五島みどりのメンデルスゾーンを聴く。有名なホ短調。
気合いの入った、ピンと張り詰めた音色が、冒頭から炸裂している。透明感のある音色はひんやりと冷たいが、ときには生き物のようにうねったり、ときには細やかな綾をつけているので、一本調子にならない。
2楽章はこころもち速め。サクサク進むなかから、じわじわと淡麗なロマンが漂う。テンポがじつにいい。
テンポのよさはは終楽章に引き継がれる。ガルネリが心地よい軋みを響かせて、爽快に締めくくられる。
全体的にオケがけっこう重たいのが気にいらないが、ヴァイオリンは問答無用にすばらしい。
フランチェスカッティやミルシテインにも引けをとらない名演奏じゃないかな。
やはりこの曲、和むのダ。
2003年1月、ベルリン、フィルハーモニーでのライヴ録音。
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