マーラー交響曲第3,4番 テンシュテット指揮ロンドン・フィル大前研一の「サラリーマン・リカバリー」を読む。
スーパーコンサル大前は相変わらずパワフルだ。実際のところ真似をしようとは思わないしできないけれど、世の中にはこんなに元気なビジネスマンがいるのだなあといった好奇心でつい読んでしまう。
『「コンピュータ」「外国語」「ファイナンス」が21世紀の"リカバリー三種の神器"である。それぞれ意味は違うが、会社にいるときも、定年退職してからも役に立つ。リストラに怯えてびくびくしたり、赤ちょうちんで愚痴を言ったり、上司におべっかを使っている暇があったら、"三種の神器"を磨け!』
これは大前の定番である。彼の著作にはたいがい書いてある。
赤ちょうちん派の私には耳の痛い話である。
そのいっぽうでこんなことも。
『これから2年使って資格を取るとしたら、何がいいか?私はマッサージ師が有望だと思う』
どちらがいいのかわけがわからないが、キッチリと違う道も用意してあるということなのだろう。
この幅の広さがジンセイである。かな?
テンシュテットのマーラーは緻密だ。アンサンブルは特段揃っている感じはしないのに、細部がよく聴き取れる。
そして抑揚が大きい。広がりの大きさを感じるとともに、音の塊にじわじわと追い込まれているような緊迫感もある。
当たりが柔らかいのも特徴だ。角を丁寧にやすりで磨いたようになめらかだ。
同じ時間でも、とても密度が濃いような気がする。音が多く聴こえるからである。
ただ、その反面パンチに乏しいことがある。ティンパニの一撃が生ぬるいので、爽快な気分になれるとは言い難いときもある。
この3番の演奏は、そうしたテンシュテットの特徴がよく出ている演奏だ。実に丁寧に作りこまれていて、呼吸が深く、角が取れている。
評判の悪いEMIの録音だが、この曲についてはロンドン・フィルの重厚な響きがうまく捉えられていて聴き応えがじゅうぶんにある。
オルトルン・ヴェンケル(A)
ロンドン・フィル女性合唱団
サウスエンド少年合唱団
1979年10月、ロンドン、キングズウェイ・ホールでの録音
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