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マゼールのプッチーニ「蝶々夫人」

2009.06.06 - プッチーニ

puccini

プッチーニ オペラ集


黒田恭一氏が亡くなったことを新聞の朝刊で知った。
クラシックを聴き始めた頃に、「レコード芸術」や「週刊FM」の記事をよく拝見したものだ。
よく覚えているのは、「といえなくもない」を多用する独特の語り口。
若い頃は、曖昧で煮え切らない文章にイライラすることが多かったが、今思えば曖昧でもいいじゃないかという気もする。ことに音楽評論においてはなんでもかんでも断定すればいいわけではないわけだ。
ここ最近は文章よりもテレビやFMで見かけることが多かったが、もうあの解説を聞けなくなるとは残念である。


プッチーニ・ボックスから、国辱オペラの誉れ高い「蝶々夫人」を聴く。
このボックスにマゼールの占める割合はとても高いけれども、内容もいい。オケに並んで歌手もレベルがそろっているため、全体的に高いところで安定している。
この演奏ではことにドミンゴが素晴らしいと思う。澄みきった輝かしい声を存分に発揮しており、時には音が割れんばかりに響き渡る。70年代のドミンゴはいいものだ。声の艶が違う。
それから、このシリーズの常連であるスコットも好調。歌いぶりに余裕を感じる。大オーケストラにかき消されることのない声量に加えて、表情も豊かだ。
オケは冒頭からよく鳴っている。マゼールによる鋭角的で彫が深いドライブが利いているうえに、フィルハーモニア管弦楽団の音色が輝かしい。

マゼールによるプッチーニの録音は意外(?)に多い。このボックスの中では12曲中7曲を担当しているし、他にも思いつくだけで「トスカ」、「蝶々夫人」、「トゥーランドット」を入れている。
彼はレパートリーも録音も多いからプッチーニ指揮者という呼称は当てはまらないかもしれないが、プッチーニを振らせたら最も安定感のある指揮者と言えるだろう。

レナータ・スコット
プラシド・ドミンゴ
ジリアン・ナイト
イングヴァール・ヴィクセル
フロリンド・アンドレオッリ
ロリン・マゼール指揮
フィルハーモニア管弦楽団

1978年、ロンドン、オール・セインツ教会での録音

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Comment

無題 - neoros2019

黒田恭一氏亡くなりましたね
カラヤンの全盛期というか一番クラシックレコードが気持ちよく売れていた時期、それらメインの解説を書かれていたし、当時多くの方がそうであったようなFMエアチェック時代の新譜が放送されるたびに氏の声を
今思えば、氏の同時期のマゼール全盛期の音楽の創り方についての意見も直接お聴きしたかったような気がします
つい最近まで夕方NHKラジオで氏の声を耳にしていました
ご冥福をお祈りしましょう
2009.06.07 Sun 05:24 [ Edit ]

Re:neoros2019さん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

コメントありがとうございます。

71歳が若いかどうかはわかりませんが、けっこう若い頃から活躍していたのだと改めて思いました。
カラヤンやグルダについての賛辞について、時には異論反論もありましたが面白く読んだものです。
最近はテレビでよく見かけました。
これからあの独特の語り口を聞けなくなるとは寂しいものです。
2009.06.07 18:19

カラヤン盤買いました - neoros2019

のっけからカラヤン独特の線の細い煌びやかさでサラサラと花が散るような音に感心します。
前提としてことさらプッチーニというオペラ作曲家を意識しなくとも、七十年代中期に向かう英デッカの録音技術とウィーフィルという楽器の利点を縦横無尽にドライブするカラヤン節だけで全曲聴きおおせてしまう代物だと思います。
まだ未聴のBPOとやったボエームも併せて芳野さんのご意見をおききしたいところです。
マタイや指輪がそうであるようにトゥーランドットとかカラヤンのものはカラヤン節が効きすぎて皆さんちょっと別格モノという世評の扱いになっているような気がします。
2016.05.20 Fri 21:48 URL [ Edit ]

よさそうですね~ - 管理人:芳野達司

neoros2019さん、こんばんは。

>線の細い煌びやかさでサラサラと花が散るような音
云い得て妙ですね。
カラヤンのプッチーニは、「ボエーム」と「トゥーランドット」しか聴いていません。ただ前者はもうずいぶん昔なので忘れ去りました。。
あと、マタイや指輪も聴いていません。マタイはかねがね聴きたいと思っているのですが、単発では現役盤ないので、様子を見ています。
「蝶々」も、いずれ聴いてみます。
2016.05.20 22:06
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