マーラー「交響曲第4番」 クーベリック指揮バイエルン放送交響楽団五木寛之と帯津良一の「健康問答」を読む。
現代人は健康に関して敏感だから、どうすれば健康になれるのかのハウツーは、テレビや雑誌には欠かせないネタになっている。
朝飯はとったほうがいいとか塩分は控えめがいいとか、本当なのかウソなのか実はよくわからない。
そんななかで、昼夜逆転生活を何十年にも渡って続けている「不健康」作家五木寛之が、健康諸説に疑問を投げかけたのがこの本。
五木の50の疑問にたいして、ガン治療の専門家が答える。世間の常識とはかけ離れた回答が痛快、切れ味バツグン。
興味深い話のなかで、特に気に入ったのはこれ。
五木「休肝日を、四十八時間つくらなくちゃいけないなんて、よくいわれていたけれど、それはもう、あまり意味がないんですか」。
帯津「私は、お酒は体にいいと思っていますから。お酒は養生法の一つですから、一日たりとも休んではいけないと、こういうんですけどね(笑)」。
この本は信用できそうだ(笑)。
クーべリックが60年代から70年代にかけてDGでセッション録音をしたマーラーの演奏は、ムラなくどれもレベルが高い。
中庸なテンポと音の空間的なバランス感覚、それにさらりとした情感がそっと加わっている。泣き叫んだり大笑いしたりといったような過度な感傷を注意深く排しているので、細やかな滋味を味わうことのできるオトナの演奏なのだ。
この4番もいい。
1楽章と3楽章におけるヴァイオリンのつややかなこと。対抗配置のせいか、こころもちヴァイオリン群が前面に出ている録音になっている。
低弦がじっくりと重心を支えているうえで、のびやかに鳴っていて実に美しい。ことに3楽章のラストのあたりではまばゆいくらいにきらめいている。
浮世離れをした響きに、自宅にいることを一瞬忘れる。
木管もすばらしい。クラリネットの、普段は聴こえないフレーズが顔を出すところの軽妙さ、繊細で悲しげなオーボエの響きなど技量もすぐれているし気合いもじゅうぶんだ。
モリソンも落ち着いた風格のある歌を聴かせる。ここは、もうすこし可愛らしい声のほうが好みである。
1968年4月、ミュンヘン、ヘラクレス・ザールでの録音。
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