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クレンペラー、ベルリオーズ"幻想交響曲"

2017.01.18 - ベルリオーズ

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クレンペラー指揮フィルハーモニア管弦楽団の演奏で、ベルリオーズの幻想交響曲を聴く(1963年、ロンドン、キングウェイ・ホールでの録音)。


これは、クールで精緻な演奏。

幻想交響曲のレコード史は、ミュンシュが発展させ、マゼールが改革し、ドホナーニが一旦完成させたと思っている。革命的な演奏があらわれないかぎり、この思いは変わらないかも。
年代的に、このクレンペラー盤はミュンシュ一連の録音とほぼ同時代になる。けれども、コンセプトはミュンシュとは異なっており、細部を明確に描くところはマゼールに近い。マゼールのCBS録音は1977年。それほど、新しかったということだと考えられる。

1楽章は、神妙。ゆったりとしたテンポで、ベルリオーズの管弦楽法をじわじわグイっと掘り下げる。ヴァイオリンは対抗配置。随所に、効果が出ている。
2楽章はコルネット入り。当時としては新しい試みだったかもしれない。ファンタスティックな演奏。まるで「真夏の夜の夢」のよう。
ただ、欲を言うならば、マゼールのように楽譜通りハープを左右に分けてほしかった。
3楽章もじっくり。ひとつひとつの楽器の音色を堪能させてくれる。特に、クラリネット、コーラングレを始めとした木管楽器が生き生きとしている。主旋律を第二2ヴァイオリンが歌って、第1がキザミにまわっている個所がある。雷鳴のティンパニは粒だっていない。
この楽章に18分かけている。長い部類だろう。
4楽章は厚い。でも、カラッとしている。反復はなし。
5楽章も足取りは重厚。怒りの日のフレージングはどっしりしていて、とてもいい。そして、相変わらず、木管楽器の味が素晴らしい。対して、打楽器はわりとアバウト。塊がザアーっと流れる感じで、粒立ちがイマイチ。そこがもったいない。










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パースのビッグムーン。








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Comment

幻想といえば - neoros2019

膨大な数の演奏録音がありますね。
私が中学生の時、初購入はヘリオドールの1000円盤マルケヴィッチ/ラムルー響だったと思います。
不思議にミュンシュ/パリ管やケーゲル盤など全くはまらず、FMでバーンスタイン盤、マルティノン盤など繰り返し接っして曲の狂気の毒気にあてられ続けてきたような。
宇野功芳の著書の推しでこのクレンペラー盤を許光俊の著書の推しでインバル/フランクフルト盤を購入。
待ちに待った3月にDGG‘73カラヤン/BPOのハイクオリティー盤が再発売されますが、何といっても5楽章の不気味な黒々した鐘の音の合成音の魅力!カラヤンのセンスに唸った覚えがあります。
残念ながらドホナーニ/クリーブランドは未聴です。
中古で探そうかな~。
2017.01.21 Sat 08:29 URL [ Edit ]

neoros2019さん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

おっしゃる通り、膨大な数の演奏録音、とても全部は聴ききれない。。
ボクが最初に買ったLPは、クリュイタンス指揮フィルハーモニア管弦楽団のものです。三浦淳史さんが推薦していたので。
たしかに、ミュンシュ/パリ管(セッション)やケーゲル盤などはハマらなかったです。バーンスタインはニューヨークとのものが好きだし、マルティノンは雰囲気がいいです。
あと衝撃だったのは、マゼール(CBS)です。いまもときどき取り出しますが、いつも新鮮な驚きを受けます。録音は古いですが、クリュイタンス/パリ音楽院の日本公演のライヴもなかなかです。
カラヤン盤はずっと昔に一度聴いたきりで覚えていません。聴いてみたいです~。
2017.01.22 13:21
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