プッチーニ オペラ集R・D・ウィングフィールド(芹澤恵訳)の「夜のフロスト」を読む。
市内を襲った流感で欠勤の続出する警察署内に、立て続けに起こる連続老女殺人、少女絞殺、青年実業家撲殺。記録破りの死体の山。
このピンチにフロスト警部は、連日朝から朝までの大活躍。
3作目にしてますます冴え渡るシモネタ、そして経験とカンによる大胆な捜査。
前半で種を思いっきり蒔いているのだが、最後は見事に全ての事件にオチがつく。ことに、ラストの数十ページは、手に汗を握る緊迫のシーンの連続で、痺れる。
フロストの魅力はもちろんのこと、出世願望の強い相棒と、これも上に常に媚びている署長がここでもいい味を出している。
読み始めたら、家でも昼休みでも電車の中でも手放せない。
プッチーニのオペラ集から、「ジャンニ・スキッキ」。
ワタシにとって初モノである。このCDがなければ、一生聴かなかった可能性が高い。これも縁かな。
このオペラは、プッチーニ唯一の喜劇である。完成したオペラということでは、プッチーニ最後の作品であるらしい。
話の内容をまったく知らずに何度か聴いただけでは、悲劇なのか喜劇なのかわかりずらい。「トスカ」や「トゥーランドット」を垣間見るようなシーンがあって、親しみやすい。
この演奏だと全曲で51分。短くて聴きやすいが、普段の通勤時間よりも短いのがなんとも言えない。
初めて聴くので比較はできないのだが、演奏はいいものだと思う。
歌手陣では、ゴッビの存在感が大きい。録音当時、60歳を過ぎているが、緊張感と威圧感がひしひしと伝わってくる。サーバタ盤でのスカルピアを彷彿とさせる。
コトルバスの見せ所は「私のおとうさん」で、声そのものの魅力はさほど突出したものではなくて、感情の表現に重きを置いたもの。
ドミンゴはさほど存在感がない。役柄の性格によるものかもしれない。
マゼールの指揮はここでも好調。細部までキッチリと目の行き届いた指揮ぶり。ロンドン饗の中性的な音色は、目隠しされたらどこのオケか皆目わからないに違いない。堅実な弾きぶり。
ジャンニ・スキッキ:ティト・ゴッビ(Br)
ラウレッタ:イレアナ・コトルバス(S)
リヌッチョ:プラシド・ドミンゴ(T)
ロリン・マゼール指揮
ロンドン交響楽団
1976年、ロンドンでの録音
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