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期間限定の思想、レーゼル、ブラームス「3番」

2011.11.05 - ブラームス
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ブラームス ピアノ・ソナタ3番、他 ペーター・レーゼル(Pf)


内田樹の著述は、サイトに公表しているものだけでもまとまった量があるので、これを読んでいればかなり満足できるのにも関わらず、文庫本が発売されると思わず手に取ってしまう。
紙の本が好きなのと、同じことを繰り返し読み返すのを気に入っているからだろう。
ご本人が言っているように、書かれた内容は先人たちの影響が強いらしいし、前に言ったことの反復だったりすることも感じる。納得できる見識であれば繰り返し読みたくなるものだ。
そしてなによりも、読み返したくなる大きな要因は、楽しく読むことができる「文章」であることだろう。これが重要。どんなに卓見であっても、悪文であればだいなしだ。逆に、文章そのものに魅力があれば、考えは拙くてもいいくらいだ。
どうもそんな気がする。じゃあ、このブログはなんなの? なんてきかれても、そこは笑ってごまかすしかないけどネ。



今週に聴いたレーゼルのブラームスは、彼が20代に残した記録。若さよりもむしろ老成した落ち着きを感じる演奏。
ブラームスの3番のソナタは、世評はどうも高くないみたいだが、昔から好きな曲だ。とくに、最初の3つの楽章がいい。
ここでは、わけのわからない暗い情熱が荒れ狂っている。スケルツォなんかを聴くと、ピアノがこんなに強く鳴る曲は他にそう多くないんじゃないかと思うくらい。リミッターを解除した激しさだ。それは、きちきちに考え抜かれた形式のなかだからこそ、より映える。
レーゼルは注意深く激しさを抑制し、厚い響きでもって夜の帳の匂いを醸し出している。
カップリングの「シューマンの主題による変奏曲」や「バラード」のほうが、演奏はさらに優れているかもしれない。


1972,73年 ドレスデン、ルカ教会での録音。
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Comment

ブラームスのピアノ・ソナタ - yoshimi

ブラームスの第3番は、他の小品とカップリングして録音している人が結構多いですね。
私は第1番が一番好きですが(これは録音が少ないです)、第3番は一番ブラームスらしくて、構造堅牢な要塞みたいです。なぜか5つも楽章があるので、曲想もいろいろ違って、聴き応えがありますね。
第2番はあの激情的な雰囲気がどうも苦手です。

第3番の第5楽章では、ドイツの”ビアホールの歌”とかいう旋律が使われていて、学生歌に似ているそうです。ブレンデルが言ってました。
そういえば、どことなく《大学祝典序曲》を連想させる部分があるような気もします。

ブラームスは、第3番以降はソナタは書いてませんが、あまりソナタ形式が好きではなかったのでしょうか。
作品としては得意にしていた変奏曲(ヘンデル、パガニーニなど。自作主題も好きですが)が面白くて、旋律自体も記憶に残りやすく感じます。
2011.11.06 Sun 11:16 [ Edit ]

Re:なぜか3番 - 管理人:芳野達司

yoshimiさん、こんばんは。
ブラームスのピアノソナタは、いい曲なのに録音は少なめだと思うのです。
この作曲家の、いいところと弱いところが混在している気がして、魅力的だと思うのですよね。
第5楽章は、ドイツの”ビアホールの歌”なのですね。知りませんでした。この部分については、全体からみるとちょっと浮いているような軽快感があると感じていました。苦悩ののちの歓喜みたいな。確かに、大学祝典に似ているかも。
レーゼルのピアノは、厚み具合がちょうどいい感じです。こういう演奏を聴くとなんだかほっとします。
2011.11.06 21:39
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