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テイトのバターワース「青柳の堤」

2006.10.25 - バターワース
テイト

ジェフリー・テイト指揮イギリス室内管弦楽団/バターワース「青柳の堤」


イギリス音楽はどちらかと言えばあまり積極的に聴かないジャンルである。
ディーリアスにしろV=ウィリアムスにしろ、私にはなにかとらえどころのない感覚がある。
ドイツ音楽のように、形式的というか、伝統的な様式感にのっとられた音楽を聴くような姿勢だと、うまく聴きこなせないのである。聴くときの座り方を少し変えないといけない。

これは、拙宅にある数少ないイギリス音楽のひとつ。
テイトがイギリス室内管弦楽団を振ったCD。
ずいぶん昔に買ったものだが、取り出すのは実に久しぶり。どうしてこの曲を聴きたくなったのかと言えば、ここのところベートーヴェンやブラームス、マーラーの音楽が続いたので、ちょっと軽めの、
素朴な音楽を聴きたくなったからと、私の愛読しているブログで何回か取り上げられているのを読んで聴きたくなったことが理由であろうか。

「青柳の堤」は、31歳で夭折したバターワースの曲の中では最もポピュラーなものだと思う。
CDもいくつかでている。これはまるで、フォスターの歌曲のような、もしくは50年代の西部劇の穏やかな場面のような、乾いていてほんのりとした抒情味がある。
クラシック音楽というジャンルの枠の中にギリギリにいるような軽い味がある。
ここに聴こえるのは、同時代のストラヴィンスキーやベルクのような、時代に挑戦するような尖ったものではなくて、田舎の田園地帯に引きこもったヒトが、自然に深く接することで湧き上がった牧歌である。

テイトの指揮するイギリス室内管弦楽団の輝かしい弦の響きがいい。なんだかはっきりしない、曇り空のような、くぐもった艶がある。なにかがひどく悲しげなのだ。
そして、私自身にはないのだけれども、どこかの国の郷里の山や木々の生き生きとした緑を思い起こさせるような、ノスタルジックな淡い感傷を聴かせてくれる。


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Comment

無題 - 木曽

こんにちは。私はイギリス音楽好きです。
(むしろドイツもの、ちょっと苦手かも。)
「青柳の堤」は、ボールト盤を持っています。
控えめで、あまり主張しない音楽ですが、美しい。
2006.10.26 Thu 19:01 URL [ Edit ]

Re:木曽さん、こんばんは。 - 管理人:芳野達司

イギリス音楽はとても久々でした。きちんと聴いたのは十数年ぶりかもしれません。
このテイトのCDには、他にブリッジとバックスの小品を含んでいますが、バターワースが最も聴きやすかったです。
静かで押し付けがましいところがなく、大変面白かったので、また他のイギリス音楽にも挑戦したいと思います。
2006.10.26 22:38

無題 - yokochan

こんばんは。バターワースは作品数少ないですが、典型的な英国田園作曲家でした。かの「カルロス」が唯一好んだ英国作曲家でもあります。和みの音楽です。
是非、他の英国音楽もチャレンジしてみてください。
TBさせていただきました。
2006.10.26 Thu 23:33 URL [ Edit ]

Re:yokochanさん、こんばんは。 - 管理人:芳野達司

TBありがとうございます。
そういえばカルロスが好んでいたとの話、聴いたことがあります。どんな演奏になるのか想像つきませんが。
マリナーのものは実によさそうです。イギリスの室内管の弦の美しさは独特です。アカデミーも素晴らしいオケですから。
まずは小品から、聴いていこうかと思います。
2006.10.26 23:45
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