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"「交渉上手」は生き上手"、ノイマン、"くるみ割り人形"

2016.03.30 - チャイコフスキー

ma
 


久保利英明の「『交渉上手』は生き上手」を読む。


「私は生きる価値のない人なんて、もともと生まれてこないと思っている。受精するまでの精子の生き残るための生存競争の激しさは、生まれてからの競争など比べものにならないほど熾烈なものだと、小学校のときに教わった。」


これは、かつて総会屋を一掃した「久保利方式」を生み出した辣腕弁護士が書いた交渉術の本。
でも、相手を打ち負かすためのノウハウ本というよりは、ときおり禅の思想や武田信玄あるいはソクラテスの言葉を引用しながら、ある種の人生論のような味わいがある。

9割負けても大事なときの1割勝つべし、とか、大学で先生が教えるべきことは勉強の手法である、とか、一口に権力と言ってもその権力とは誰のことか知らなければ交渉にならない、などといった言葉に頷かされる。
最後にこう言っている。

「私は、『それがどうした』という言葉が非常に好きである。『交渉で勝ったけど、それがどうした』『交渉で負けたけど、それがどうした』問題はそんな目先の勝ち負けではなく、流れの中で生き続けるという、これがいちばん大事なことなのだ」

身も蓋もないが、ジンセイ、結局はそういうところに落ち着くのか。






ヴァーツラフ・ノイマン指揮チェコ・フィルの演奏で、チャイコフスキーの「くるみ割り人形」組曲を聴く(録音年、ロケーション不明)。

ノイマンのチャイコフスキーは珍しいと思われる。初めて聴いた。

これは、おしとやかで小柄な少女のような演奏。
とくに「序曲」や「行進曲」のような快活な曲は、スタッカート気味に音を短く刈りそろえているところが面白い。シンバルは遠慮気味に小さく鳴る。チェレスタやトライアングルは控えめに乾いた響きをたてる。弦楽器は比較的小編成と思われ、ひんやりとしたアンサンブルが艶やか。
全体を通してスマートな仕上がりになっている。

この曲、本来ならば組曲ではなく全部を聴くべきものであると思うし、この演奏においてももちろんそれを望むが、遺されてはいないようだ。



ma
 
夕暮れ。









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