メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲、チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲吉越浩一郎の「デッドライン決断術」を読む。
著者は長らく外資系の会社に勤めていたこともあって、仕事に対する切り口はなかなか厳しい。
すべての仕事にデッドラインを決めれば、それに向かって集中するから無駄な残業はなくなり、仕事もオフも充実する、というのがこの本の主題。いかに効率よく仕事をさばくのかのノウハウを紹介している。
どれもこれもまっとうであり、グウの音もでない。おっしゃるとおりであるが、すべてが新しい考えではなさそうだ。
そのなかで、一日の時間の配分についての考えには深く納得させられた。
「多くの人は『1日は24時間ある』と思うから、睡眠時間を削って仕事をしてしまう。そうではなく、『1日は16時間』だと思えばいい。まずは8時間の睡眠を差し引いて、残りの16時間をどう使うかを考えるべきなのだ」。
同感である。睡眠時間は削ってはいけないのダ。
チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲は大好物。年に何度か、むしょうに聴きたくなる。この曲はベートーヴェン、メンデルスゾーン、ブラームスと並んで四大協奏曲と言われることがあるけど、どれかひとつをとるならば、ちょっと悩んでチャイコフスキーをあげる。
なんといっても、メロディーがいい。部分的にいいのではなくて、全曲に渡ってすばらしすぎる。チャイコフスキーのメロディーメーカーとしての天才は、バレエ音楽とこの曲にトドメを刺すのではないかな。
今日は最近に入手したパールマンの演奏を聴く。この演奏は、LP時代に図書館で借りて聴いたことがある。そのときはあまりピンとこなかったのだが、今聴くとどうなのだろう。
テンポはじっくりゆったり。1楽章は19分をかけているので、この曲の遅い演奏に属するだろう。
松脂が飛び散るのが目に見えるような力強い弓回しはパールマン独特のもの。それは曲によっては垢ぬけないように聴こえることもあるが、ここではあまり気にならない。むしろ恰幅のよさにつながっているようだ。すみずみまで弾ききっているから、音の切れ目の隙間がとても短くひとつひとつのフレーズが長い。長くて、太い。そうしたところにスケールの大きさを感じる。
オーマンディのオケは、これ以上は想像できないくらいの手堅さがある。ソリストとのタイミングの合わせ方が絶妙であることに加えて、リズムの堅牢さが音楽をがっしり支えていて、全曲を通して安定感がある。各奏者は技術巧みであり華やか、そしてクール。
下手なソリストだったら太刀打ちできない。
30年前はなにを聴いていたのか、もしくは好みが変わったのか。いい演奏である。
1978年11月11,13日、フィラデルフィア・オールド・メットでの録音。
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睡眠時間が1.5時間のサイクルとは、いろいろなヒトが書いています。科学的に証明されたものなのか、誰かが言ったことが伝播しているのかわかりませんが、なんだか説得力があります。妙に気になり、この時間を基準に就寝時間を決めている状態です。
チャイコフスキーの「ヴァイオリン協奏曲」、確かに王様かもですねえ。
オーケストラが実にクールなんです。オーマンディ師の多くの演奏のなかでもこれは印象的であります。