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バレンボイムのチャイコフスキー「くるみ割り人形」

2008.04.20 - チャイコフスキー

Tchaikovsky

チャイコフスキー 「くるみ割り人形」 バレンボイム指揮ベルリン国立歌劇場

サイダコヴァ(クララ)
マッツ(ドロッセルマイヤー)
マラーホフ(王子)
クノップ(王妃)
ナチエヴァ(雪の女王)
バール(振付・演出)


昨晩は、「名曲の楽しみ」を久々に聴いた。
毎週聴きたいと思っているのだけど、この時間は呑んじゃっているのでなかなか聴くことができていない。
昨晩は早めに切り上げ、寝床で聴いた。
思えば、吉田秀和がチャイコフスキーを毎週語るなんて、昔では考えられなかったことだと思う。
どちらかといえば、彼の嫌いな作曲家ではなかったか。その彼がチャイコフスキーを毎週かけてくれるのでとても気になっているのだ。
昨日は、「くるみ割り人形」。序曲から行進曲までを流したところで、ぼやきのような解説がちょっと入って、各国の踊りまですっとばして終曲まで。
友達を相手にしゃべるような朴訥な語りが、昔と変わらず味わい深い。
アシュケナージの演奏が退屈だったわけじゃないけど、途中で力尽きて寝てしまったので、最後の「そいじゃ、また」が聞けなかったのは残念。寝るの早すぎ。


各国の踊り(ディヴェルティスマン)を、舞台つきで観るのは面白い。
というか、すさまじく楽しい。
豪華なオードブルの連発である。
食べ物でいえば、各国の焼き物、蒸し物、炒め物、揚げ物が一口ずつ、品数は豊富にテーブルに色とりどりならんでいる様だ。
酒ならば、ブランデー、焼酎、ウォッカ、ワイン、老酒がところ狭しとひしめき合っている、そんな食卓。
手を変え品を変え、色とりどりの踊り手が、それぞれの国の特色を帯びた楽しい音楽に合わせて乱舞する。
ここが音楽のピークであると同時に、バレエのピークでもあることは、聴衆の喝采の盛大さでも感じることができる。

日曜日の午後4時。
翌日のことが気になって、気分が落ち込む時間帯である。
でも、この舞台を見ているあいだ、そういった憂鬱な気分を忘れることができた。
バレエのことは詳しくわからないけれど、強烈なインパクトのある舞台と音楽だった。

他の場面では、雪の精が踊るワルツも素晴らしかった。白い衣装で覆われたダンサーの幻想的な舞台は季節を超えて心に迫るものがあった。児童合唱団はいまひとつだったけれど、踊りは最高。
バレンボイムは、なんとも濃い演奏。テンポが全体にゆっくり目なのは、踊りに合わせたところもあるのだろうが、流れの嗜好はバレンボイムのものと想像する。強弱の大きな変化、テンポの細かな揺れ動き、時折みられるポルタメントは彼ならではのものだ。
特に「花のワルツ」の悠々たる流れは、今まで聴いたことがないくらい、独特の世界だ。
淡い色を使った水彩画のような衣装と舞台が繊細ですばらしかった。

1999年12月23日、ベルリンでの録音。
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Comment

無題 - rudolf2006

吉田さま お早うございます

吉田秀和さんの「名曲の楽しみ」最後の方だけ聴きました。「そいじゃ、また」は聞いたかな??
得がたいものですよね、あの年齢で、いまだにあの感性を維持しておられるのは~
自分もこうありたいと思う姿を見せてくださっている感じがします。

バレンボイムの「胡桃割り人形」
いつものように、まったく観ておりません、爆~
チャイコフスキーは、バレエ曲の方がシンフォニーよりもかなり難しいですし、また面白くもあります。「胡桃割り人形」一度だけ伴奏をしましたが、バレエは、テンポが少しでも変わると、ダンサーが転んで怪我をしてしまうこともあるそうで、伴奏は至難の技のようです。コンサートで演奏するのとは、かなり違います~。

組曲盤には入っていない曲の中にこそ、良い曲が多いような気がします。「雪の精」のところは本当に美しいですよね~。
児童合唱が出てくるところも~
NHK響でスヴェトラーノフが演奏しているのをテレビで観ましたが、良かったです~。

ミ(`w´)彡 
2008.04.21 Mon 07:24 URL [ Edit ]

Re:rudolf2006さん、こんばんは。 - 管理人:芳野達司

コメントありがとうございます。

「名曲の楽しみ」を毎週聴きたいところですが、時間的に呑んでいるときなので、なかなか聴くことができません。せいぜい数ヶ月に1ぺんくらいです。呑むくらいならおとなしくラジオを聴けばよいのですが…。

バレンボイムのくるみ割り人形って、たしかレコード(CD)にはなかったかと思います。
そういう意味ではわりと珍しい音源ですが、演奏もやや変わっています。
恣意的なテンポの変化が大きく、ダンサーは踊りにくいのかと想像します。もしかしたら、こちらのほうが踊りやすいのかも知れませんが、音楽はユニークです。
映像がなければこの演奏、それほど面白いものではないような気もします。
2008.04.23 21:38

無題 - sweetbrier

わあ、びっくしりました♪
バレエの映像付の演奏を取り上げられたのは、確か初めてですよね?
日曜日の午後4時の憂鬱をわすれさせてくれる…うんうん、わかります。

> バレンボイムは、なんとも濃い演奏。
> 流れの嗜好はバレンボイムのものと想像する。強弱の大きな変化、テンポの細かな揺れ動き、時折みられるポルタメント~

そうですよね。並のダンサーでは、踊りが破綻してしまうのではないかと思うほどです。
私は特に、主役2人がバレンボイムの演奏する音楽を使い切って踊っている終幕のグラン・パドドゥが大好きです。夢の宴終幕直前の疾走感と高揚感が伝わってきます。
アシュケナージはどうかな。明後日の再放送を録画することにしました♪
2008.04.21 Mon 22:59 URL [ Edit ]

Re:sweetbrierさん、こんばんは。 - 管理人:芳野達司

コメントありがとうございます。
バレエの映像付の演奏を取り上げたのは、初めてです。
観ることそのものが久しぶりでした。いやー実に面白いものです。
バレンボイムがバレエというのに違和感がありましたが、踊り手はけっこう有名な方のようですね。
すばらしい踊りでありました。
主役のクララはかわいらしい容貌もじつにハマッている感じです。王子のキレのある動きも文句ないと思います。
マラーホフという人、sweetbrierさんの記事で名前を知っていましたが、あんなに激しい動きをしても髪型が変わらないところに感心しました(ポイントがすれているかも?)。
バレンボイムのテンポは、踊りやすいのかわかりませんが、実に濃厚な味わいがありました。今まで聴いたことのある「くるみわり」とは一味違う演奏です。とはいえ、この映像では、踊りと演出のほうが印象的でした。
2008.04.23 21:49
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