チャイコフスキー「ピアノ協奏曲第1番」 ジョルジ・シフラ(Pf) アンドレ・ヴァンデルノート指揮フィルハーモニア管弦楽団見ル野栄司の「シブすぎ技術に男泣き!」を読む。
ホリエモンが愛読しているとの広告につられて買ってしまった。
新旧おりまぜた様々なものづくりの技術者に取材し、創作のエピソードを描いた漫画。専門用語が多いので文章だけだと理解し難いだろう。
乾電池の発明から怪しいゲーム機までいろいろあるなかで、興味をひかれたのはエムズシステムのスピーカー。バームクーヘンのような形をしており、1本で稼働するところは常識を覆していると言える。臨場感もすばらしく、現在はリッツ・カールトン・ホテルの全スイートに置かれているという。
これを発明した社長は元NGO職員で、その活動でアマゾンに赴いたときに立ち会ったダム建設からヒントを得て、3ヶ月の短期間で開発した。
このスピーカーの音に感銘を受けた大手メーカーがそっくりなものを作っても同じ音が出ないと泣きつくと「思いやりが足りないのでは?」とピシャリ。
思いやりがあればチャンスと使命が天から降ってくると男泣き。
HMVのレビューを読むとそれほど評判高いわけではなかったので大きな期待はしていなかったが、これはなかなかだ。
特にピアノの弱い音は、玉のように角のとれたスベスベの肌触り。ひとつひとつの音がはっきりと明瞭に聞こえる。
ちょっと粘りというか潤いのある音がみずみずしくてよい。シフラといえば、自分の技巧の高さをひけらかすのが得意との誉れ高いピアニストであり、それはそれでじゅうぶん素晴らしいとも思うが、それだけの演奏ではないとみた。
オーケストラもよい。今まで聴いたことのない音が聞こえるあたり、指揮者がオーケストラを相手に入念に準備をした証拠かもしれないが、フィルハーモニアのことだから、こういうことはアッサリこなしてしまうような気もする。
テンポを曲想に合わせて適度に変えたり煽ったりするところが、しっくりと堂に入っている。華のあるいい演奏である。
1958年9月、ロンドン、キングズウェイ・ホールでの録音。
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このマンガは実直な職人を取り上げたものですが、そういうものとは正反対な職種で活躍したホリエモンが愛読しているそうです。改心?かわかりませんが、イメージが違いますね。
シフラの演奏、昔にリストの演奏を聴きました。超絶技巧といえばこのヒトだった時代です。
それ以来、何年も聴いていませんでしたが、このチャイコで再会、演奏はいいものです。
ヴァンデルノートは手堅く締めています。全曲を通して、これはかなりいいCDだと思います。