チャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲」 イーゴリ・オイストラフ(Vn)コンドラシン指揮モスクワ・フィルあけましておめでとうございます。
今年があなたにとっていい1年になりますように。
年の始めはチャイコフスキー。
オイストラフとコンドラシンによるもの。オイストラフはダヴィッドではなくイーゴリである。
ジャケットをよく見ないで買ったので、イーゴリだと気付いたときは、ちょっとのけぞったが、このヴァイオリニスト、けっこう好きである。
だいぶ前になるけれど、イーゴリがシャイー指揮ベルリン放送饗とやったブラームスを聴いたことがある。
FMで流されていたのをエアチェックしたのだ。速めのテンポでスマートに整えられたブラームスだった。ダヴィッドのような、スケールのたっぷりとした大きさや豊満感は少ないものの、そのぶん切れ味と勢いが勝ったヴァイオリンで、気に入っていた。
そういった演奏を聴いていたので、のけぞりつつも聴くのを楽しみにしていた。
この演奏はライヴであるし、速めのテンポをとっているため荒っぽいところがあるが、そのぶん、ここでも音楽はとても勢いのあるものになっている。
イーゴリのいいところは、ここをはっきりと鳴らせて欲しい、と思うところを、じゅうぶんに鳴らせてくれるところだ。
1楽章のカデンツァのあとに高音でむせび泣くシーン。ポルタメントを絶妙に効かせて、爽やかな甘さの漂ういーい音なのである。
終楽章のホントウのラストのところ。速いテンポだと、怒涛のオケにかき消されてしまうこともままある部分だが、イーゴリはキチンと、明瞭に響かせる。ここが決まればすべてヨシ。
かゆいところに手が届いて気持ちがいい。
イーゴリとワタシ、波長が合うのかもしれない。
1967年4月20日、東京での録音。
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