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「世界征服」は可能か?、アンセルメ、白鳥の湖

2011.05.22 - チャイコフスキー
  
tch

チャイコフスキー「白鳥の湖」 アンセルメ指揮スイス・ロマンド管弦楽団


岡田斗司夫の「『世界征服』は可能か?」を読む。
「仮面ライダー」や「北斗の拳」に出てくる悪の組織は、なんのために世界征服を狙っているのか。世界征服にはどんな苦労が伴うのか。本書は、そんな素朴な疑問を掘り下げて考察している。
いくつかの例を取り上げているなかで、とくに印象に残ったのは「バビル2世」のヨミ様の話。彼は地球支配のために組織を作るが、独裁者なのでたいへん忙しい。すべて自分が決めなくてはならないので、仕事が増える一方だ。いろいろな武器を作って戦うものの、バビル2世はそれをものともせずに立ち向かってくる。寝ている暇もない。ピンチになると、すぐに部下が「ヨミ様を起こせ!」なんて言って呼びに来るから、ヨミ様は全然寝られない。こんな調子なので、回を追うごとに老けこんでいく。実際、このマンガのなかで、ヨミ様は3回も過労死しているという。気の毒である。
こういった事例もあるから、世界征服は並大抵ではないようだ。
隙あらばオレも、なんて考えているあなた。よく考えたほうがいいですよ。


クラシックを聞き始めたころ、チャイコフスキーのバレエ音楽といえばアンセルメ、という雰囲気が漂っていた。
当時はレコードに関する情報収集の有力な手立てとして、レコードのカタログがあった。レコード屋さんに置いてあったアレである。さまざまなレコード会社のなかでは、プレヴィン、カラヤン、オーマンディ、アンセルメあたりが目立っていたわけだけど、最初の3人については、バレエ音楽だけでなく多くのレパートリーをこなしていたので、アンセルメだけはバレエの専門家、といった印象が焼き付いたのだった(もちろんこれは誤解だったわけだけど)。
その一方で、図書館でレコ芸などを読むと、スイスロマンド管弦楽団はヘタッピイであるとの意見があった。風評というものは往々にしてマイナス要素のほうが面白そうであるし、なにより人の意見を鵜呑みにする単純な輩であったから、どちらかと言えば後者を信じていたわけだ。それは、かれこれ30年ほど続くことになる。
そんなことを思い出しつつ「白鳥の湖」を聴いてみる。この演奏に関して言うと、30年前の評論家の意見はあながち間違っていない。というのは、弦楽器が荒いのだ。合奏が揃っていないところがいくつかの場面にみられる。1度聴けばわかる程度なので、セッション録音であるし誰かが気づいたのだろうが、スケジュールの関係で、そのままスルーしてしまったか。まあ、そこはちょっと残念である。
でも悪いところばかりではない。金管と打楽器はメリハリが強くて、覇気に富んでいる。歯切れがよくて軽やか。そして、なんといってもいいのは、音の匂い。ほんのりと甘い芳香が立ち昇っている。この匂いはスイスなのかフランスなのかはたまたロシアなのか、どこの産地かわからないが、メルヘンの濃厚な香りがあって、たいへんおいしいのである。技量の不足を補って余りありまくり。
ちなみに、このCDはハイライト版とはいえ80分強が収録されているので、けっこう聴きごたえがある。30年もほったらかしにして、もったいない。


1958年11月、スイス、ジュネーヴ、ヴィクトリア・ホールでの録音。
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Comment

こんにちは〜 - rudolf2006

吉田さま こんにちは

世界征服を狙っている方々、おられるのでしょうか??
きっとどこかにはおられるのかもしれませんね〜
岡田斗司夫さんの本はまだ一度も読んだことがありません、そう言えば〜。

アンセルメとスイス・ロマンドの演奏
色々と言われ続けてきたわけですが、それほど下手だとは思いません、私は〜爆〜 ファンだからかもしれませんが〜。
こういう音色を持ったオケストラは皆無になってきているので、録音としては貴重だと思うんですよ。
ショルティの演奏でも、カラヤンの演奏でも、よく聞くと、間違えているところがありますよ、それに音程が悪かったり〜。この国では、ドイツ系の音以外を頑なに認められない方々がおられます。そちらの方がどうかと思うんですが、まぁ、好みなんで、何を言われても良いのではないでしょうか〜 というか、そういう人たちの文章を読みませんので、分からないのですが〜 爆〜

▼・。・▼
2011.05.23 Mon 12:04 URL [ Edit ]

Re:rudolf2006さん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

岡田さんはアニメーターで、最近は新書をいくつか出していますね。彼の著書を初めて読みました。
アニメアタクの人って、頭のいい人が多いような印象があります…高校時代の友人がそうだったのですが、ソツなく仕事をこなすいっぽう、妙なところにエネルギーを使う傾向もあったり。
大人になるとそういう趣味がなかなか表に出ないので残念です。

アンセルメを聴きだしたのは、rudolf2006さんの影響です。
「白鳥の湖」に関して言えば、パートによってムラがあるものの、全体的には抗しがたい魅力があります。
総じて、管楽器がよいように思います。
こういうのを聴くと、ドイツ一辺倒になるのはいかにももったいないですね。
聴き始めたというものの、ベートーヴェンとかブラームスはまだこれからです。楽しみにしています。
2011.05.25 22:22

この本、面白そうです! - yoshimi

「『世界征服』は可能か?」、タイトルからして面白そうな本ですね~。
子供時代にアニメに凝った私としては、これは読まなければなりません。
バビル2世は好きだったのでTVで見てましたが、そういえばヨミ様、いつも青白くて顔色悪かったような..。
世界征服というと、すぐに思い浮かぶ悪役は、「ガッチャマン」のベルクカッチェ。
親分は総裁Xですが、この人、いつも影のようにユラユラと浮かんでいたので、印象稀薄。
中間管理職のベルクカッチェは、結構笑えるキャラクターでした。
一体何が目的だったか、子供の頃はそこまで気にしてなかったので、この本に載っていたらよいんですが。
目次を見ましたら、大真面目なところがまた面白そうです。ご紹介ありがとうございます。

「白鳥の湖」は、CDで全曲通しで聴いたことはありませんが、昔フェスティバルホールでモスクワのバレエ団の公演を全幕見ました。音楽だけ聴くよりも、踊りと一緒に見るとドラマティックさが増してました。
ピアノ独奏版もいろいろありますが、当然のことながら、よほど凝った編曲と達者なピアニストでないと、パッとしないものが多いです。(スティーブン・ハフのピアノソロ版Pas De Quatreは鮮やかですが)
2011.05.24 Tue 09:53 URL [ Edit ]

Re:yoshimiさん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

この本、期待を裏切らないものでした。前半はいろいろなアニメを引用して、面白おかしく「世界征服」について論じています。後半はややシリアスです。アメリカの戦略は、実は古代ローマの政策をモデルにしている、とか…。
笑うなら前半がオススメかと。
アニメによっては、悪の大将がなんのために世界征服をもくろんでいるのかわからないものがあると筆者は嘆いています。そんななかで、「ドラゴン・ボール」はとても論理的である、などなど。
バビル2世、ワタシもテレビを観ていました。
主題歌が好きですねえ。

「白鳥の湖」、どこのバレエ団か忘れましたが、テレビで観るとより一層すばらしかった記憶があります。
バレエの実物を観てみたいものです。
ピアノ独奏版は知りませんでした。面白そうですね!
2011.05.25 22:46

世界征服はごめんですね - 木曽のあばら屋

こんにちは。
この本はじつは「立ち読み」しました。
もし世界征服を狙えるほどの財力があれば、
「悪の組織」など作って暗躍してないで、
そのお金で楽しく遊んで暮らします・・・。
世界征服のための組織なんて、考えるだけでも運営が大変そう。
部下に給料も払わないといけないし。
ボーナスは出すのかな?
毎朝朝礼やったりして。
「今日も元気で世界征服のために頑張りましょう!」
みんなでラジオ体操もやったりして。

もっともある意味マイクロソフトやグーグルは
すでに「世界征服」を成し遂げているとも言えますね。
2011.05.24 Tue 18:34 URL [ Edit ]

Re:木曽のあばら屋さん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

悪の組織を運営することは、思った以上に大変だということをこの本で思い知らされました。
従業員のモチベーションを保つにはどうすればいいかとか、経営者的な悩みも多いようです。また、経費が膨大にかかるので、そうとうな資本をもっていないと難しいでしょう。だから、金持ちでないと悪にはなれない。
ちょっと狙っていたのですが、いささかハードルが高いかなと…。
これを読むと「ガンダム」はよくできた話なのだなと、改めて知らされました。世界征服のビジョンがあるんです。すばらしい。

本の後半は悪の定義を論じているのですが、「マイクロソフト」が代表するような、いま常識だと世間でおもわれているものを覆すことが、悪だとしているようです。だからパソコン嫌いはそれだけで悪なのかも…。
2011.05.25 22:44
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