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リパッティとアッカーマンのショパン「ピアノ協奏曲第1番」

2010.03.13 - ショパン

ch

ショパン「ピアノ協奏曲第1番」 リパッティ(Pf) アッカーマン指揮チューリヒ・トーンハレ管


クリント・イーストウッド監督の「インビクタス」を観る。
南アフリカの大統領に就任したマンデラが、国民の団結を目指す政策の一貫としてラグビーに着目する。ラグビーチーム主将のピナールに接し、チームを盛りたててワールドカップの優勝に挑むという話。
変化球なし直球ど真ん中の感動ものである。イーストウッドにしては珍しいのじゃないかと思う。アパルトヘイトを扱ってはいるものの、暗い影はほんのちょっとしたスパイスにすぎないようにみえた。
黒人と白人との折り合いをつけるためといいながらラグビーにのめり込むマンデラ大統領は、実は単なる1ファンであるというような雰囲気を醸し出しているところに人間くささがあって、いかにもよい話といった感じ。
白人の警備員がラグビーの試合のラジオ中継を聴いているところに、みすぼらしい恰好をした黒人の女の子が近づいてくる。最初は「あっちへ行け」と女の子を追い払うが、試合が進むにつれて一緒に夢中になってラジオに聴き入り、最後のホイッスルが鳴ると抱き合って喜びあう。
こりゃ泣ける。
モーガン・フリーマンの大統領は貫録たっぷり、完璧なはまり役。マット・デイモンの抑えた演技もいい。


リパッティのショパン。
序奏からねっとりと重厚なオーケストラが響き渡る。思い入れたっぷりといった感じの序奏である。単なる伴奏指揮者の域を超えた思い切りのよさと幅広さのある演奏であり、こういうことをされたらピアニストも燃えるに違いない。
おもむろに登場するリパッティのピアノもまた重い響きを聴かせる。太い芯が揺るぎなく屹立しているような音。このピアニストはこういう音も出すのだな。
ひとつひとつの音は粒立っていて真珠のように美しいし、分厚い憂いにも満ちている。都会的に洗練されたスマートなピアノ。
この曲については、記録的遅さをマークしたツィメルマンの弾き振り演奏がとても印象的だったが、このリパッティとアッカーマンによる演奏もそうとうに粘っている。悲劇的な香りは負けずに濃厚だ。


1950年2月、チューリヒでの録音。
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Comment

無題 - rudolf2006

吉田さま こんばんは

クリント・イーストウッドの映画ですね
彼は、俳優だけでなく、良い映画も撮っていますよね、珍しいことだと思いますね〜。フリーマン、きっと良いでしょうね〜。感動的な映画になっているようですね。アパルトヘイトを直球勝負されても困ってしまうこともありますが、アメリカでこういう映画が作れること、まだまだ捨てたものではないかもしれませんね〜。

リパッティ、殆ど聴いてきていないのですが、例のアンセルメのシリーズで、シューマンを聴きました。ブログには書いていないかと思うのですが、これがなかなか素晴らしいものでした。リパッティのショパンは、カラヤン盤が一番有名なものでしょうが、この盤も良さそうですね〜。

ミ(`w´彡)
2010.03.14 Sun 18:21 URL [ Edit ]

Re:rudolf2006さん、こんばんは。 - 管理人:芳野達司

イーストウッドは今は世界の第一人者ではないかと思います。
この映画はめずらしく一直線なものですが、映画としての完成度はそうとうよいものです。
アパルトヘイトの暗部については、この映画でもラガーメンがマンデラのいた収容所を訪れるシーンがありますがいささか印象に薄く、このあたりはおっしゃるように困った直球勝負です。
しかしながら、人情味あふれるエピソードがちりばめられていて、泣けるのですよ。

リパッティのこのショパンはいいものでした。影が濃いです。
アンセルメとのシューマンもありますね。これは聴いてみたいですね。
2010.03.14 21:46
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