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バシュメットとリヒテルのショスタコーヴィチ「ヴィオラ・ソナタ」

2010.01.17 - ショスタコーヴィチ

SH

ショスタコーヴィチ ヴィオラ・ソナタ バシュメット(Va) リヒテル(Pf)


成毛眞の「本は10冊同時に読め!」を読む。
日本マイクロソフトの元社長は文藝春秋の書評を担当しているらしい。大変な読書家であるとのこと。社長とか元社長とかいった人達の書いた本には、しばしば上から目線の説教を垂れる類のものがあるが、この本は幸か不幸かその例に漏れない。
「一流の経営者は、みんなすごい量の本を読んでいる」とか「本を読まない人間はサルである」など過激なことを言い放ったりして、各論に全面的に賛成というわけにはいかないけれど、最後まで読ませる妙な魅力がある。論理的では全然ないものの熱いものが迸っている。
経営者の資質には、読書うんぬんよりも勢いが大事なのだということを教えてくれる。


ヴィオラ奏者でまず一番に思いつくのはバシュメットだ。音はたっぷりとドスがきいているのに、歌い回しはいたって軽快。スケールも大きい。
ヴィオラの大家は少なくないがそのなかでイチオシなのは、実演で接した演奏をいたく気に入ったから。80年代前半に演奏したモスクワビルトゥオーソ室内管とのモーツァルトである。あれは圧巻だった。いまでも強く印象に残る。
端正かつ切れ味鋭く迫るスピヴァコフに対して、豪胆にしてこれも鋭角的なバシュメットのヴィオラ、ともに素晴らしすぎたが、個人的には軍配はバシュメット。テンポは遅いうえにやたらと縦の線を研ぎ澄ましたやや神経質なモーツァルトではあったが、実に濃厚な時間を感じたものだ。
などとギャーギャー騒いでおいて持っているCDは数枚きりだ。
そのひとつがこれ。 ショスタコの最後の作品であり、全体にどんよりと漂う寂寥感はただならない。終楽章においては「月光ソナタ」のメロディーが何度も引用されるが、これを聴くとR・シュトラウスの「メタモルフォーゼン」を思い出さずにいられない。シュトラウスが「英雄」の葬送行進曲を引用したことについて「『これで、バッハ以来の光栄あるドイツ音楽の伝統も終わりだ』という気持ちを込めたものだ、という話である」(吉田秀和)、という話がある(ヤヤこしい)。このヴィオラ・ソナタにおいての「月光」は、さしずめ作曲者が人生に別れを告げるモチーフだったのだろうかと夢想する。
リヒテルの芯のしっかりとしたピアノに乗って、苦渋のヴィオラの響きがあたかも砂漠のように広がる。
聴いていてつらくなる音楽である。

1982年9月26日、モスクワ音楽院大ホールでのライブ録音

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Comment

無題 - rudolf2006

吉田さま お早うございます〜

成功した起業家は、何を言っても「正しい」かのように取り扱われますから、良いですよね〜、たとえ、それが暴論であろうと〜。私も複数冊、同時に読書していますが、早く読もうとなどとは思っていません、もちろん、起業家として成功もしていませんが〜、爆〜。
読書の喜びは、再読するとき、再々読するときにあると思うのですが、読んでおられる本が「成功した起業家」の方とは異なるようです、爆〜。

バシュメットのヴィオラ、上手いものですよね〜、私も放送、テレビ、録音などで聴いて、驚いたことを覚えています。モツアルトであったのではないかと思っています。ショスタコの室内楽は、まだまだこれからの分野です。今、ようやくブラームスの室内楽ですから、爆〜。
今年はもう少し広く聴きたいものですが〜。

ミ(`w´彡)
2010.01.18 Mon 07:58 URL [ Edit ]

Re:rudolf2006さん、おはようございます。 - 管理人:芳野達司

いつもコメントありがとうございます。

わたしも常時5,6冊並行して読みますが、それによるメリットを考えたことはありませんし、あるとも思いません。
この本によると頭の切り替えに役立つというようなことらしいですが、どうなんでしょうねえ。

バシュメットで印象的だったのは、モーツァルトの協奏交響曲の演奏です。ヴァイオリンはスピヴァコフで、これも見事なものでしたが、ヴィオラの鮮烈さには驚きました。
しかしこの曲、あまりとっつきやすいものではありません…。
2010.01.19 12:50

無題 - neoros2019

ヴィオラ・ソナタは、NHK-FMで聴いたことがあるような、聴き流してしまったような記憶しかありません
ショスタコに嵌りまくっている現在、これも聴いてみたい逸品です
今日、バルシャイの15番を車で聴いていて、ショスタコ晩年はまた独特の世界だなぁと思いつつ走らせていました
出口の見えないコンニチの世界情勢、国内の経済状況下、ショスタコは普段鑑賞するのにまさにピッタリの音楽に感じます
2010.01.18 Mon 22:27 [ Edit ]

Re:neoros2019さん、おはようございます。 - 管理人:芳野達司

いつもコメントをありがとうございます。

ヴィオラ・ソナタは最後の作品らしいのですが、終楽章で「月光」が引用されるあたり雰囲気があります。
全体的にも色調はどっぷりと暗く、出口が見出せない感があります。
ショスタコは、最近インバルの6番と12番をよく聴きます。ウイーン響とのものはフランクフルトより相性がよいのではないかと感じました。
2010.01.19 12:54
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