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プロチュカのシューベルト「美しき水車小屋の娘」

2008.03.15 - シューベルト
shubert

シューベルト「美しき水車小屋の娘」 ヨゼフ・プロチュカ(T) ヘルムート・ドイチェ(Pf)


ウィリアム・フリードキン監督の「フレンチ・コネクション」を観る。
フランスの国際麻薬組織とアメリカ警察との格闘を描いていて、ことに主役を演じるジーン・ハックマンのはみだし刑事ぶりがいい。
地下鉄での尾行、カー・アクション、電車ジャックなど見どころが満載であり、この後に続く刑事アクション映画の先駆けとなった映画といえる。その新鮮さは今となっても色褪せない。
実話を元にしたフィクションであり、後味は少々苦い。


さて、プロチュカの「水車小屋」。
社会に出てまもない若者の失恋を歌った音楽であるが、この曲におけるいわゆる世評高い演奏には、感情を内に抑えた歌が多いように思う。
ヴンダーリヒ、シュライアー、プライ、ブロホヴィッツ、ディースカウ、ヘフリガー、プレガルディエンなどの盤は、全体的に感情のみずみずしさを歌い上げつつ、つらさをじっとこらえた演奏になっているように感じる。
このプロチュカ盤は、若者のいきりたつ感情を露わにした激情的な歌いぶりで異彩を放つ。
ときに音程が怪しくなる場面もあるけれど、そうしたことよりも音楽の勢いというか、傷ついた若い男の荒ぶった感情の表出を前面に押し立てた演奏になっている。
それは、どちらかといえば、恋の失敗を悟った後半の部分よりも、彼女と出会ったばかりの、まだ期待が大きい時期の前半部分に見受けられる。
憧れの強さと、感情の起伏の大きさが比例しているような歌いぶりである。通常は、望みが断ち切れた「緑のリボン」以降からだんだんと感情的になってゆくことが多いのだが、この演奏は逆なのである。
「緑のリボン」以降は、むしろ冷静で諦観したような歌を聴かせる。
テンポをどっしり落としてじっくり歌いあげた「小川の子守歌」は、感動的である。
プロチュカの声は、透明感があり、適度な厚みもあって、美声というにふさわしいものだ。
それを十全に生かしているのが後ろの10曲であり、内面の葛藤を激しく表した前半は、もちろん美声ではあるけれども、ありあまる感情を抑えきれない男の率直さを歌ってやまない音楽になっている。
ドイチェのピアノは、控えめながら要所をきっちり押さえていて不満なし。

1985年12月~1986年3月、ドイツでの録音。
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Comment

無題 - rudolf2006

吉田さま お早うございます

「フレンチ・コネクション」懐かしいですね
私はハリウッドの映画も1980年代くらいまでしか観たいなと思うものがほとんどありません。最近の映画は全く知りません、爆~。

確か、このブログで、ヴンダーリッヒさんの演奏も書いておられたと思うんですが~。
吉田さんの、お気に入りの曲の一つでしょうか?

ヘルムート・ドイッチュさんは、歌曲の伴奏で有名ですよね、日本にも度々来られていたと思います。
このプロチュカという歌手、全く知りませんでした。先ほど、HMVで検索してみたら、ありましたが、廃盤となっていました~。

シュベルトは、歌曲と室内楽 この2つのジャンルがやはり素晴らしいのではないかなって最近、思っています。

ミ(`w´)彡 
2008.03.16 Sun 05:22 URL [ Edit ]

Re:rudolf2006さん、おはようございます。 - 管理人:芳野達司

コメントありがとうございます。

懐かしい映画のビデオです。昔に名画座で観たのですが、こうして観なおしてみると、とてもよくできた作品です。

>私はハリウッドの映画も1980年代くらいまでしか観たいなと思うものがほとんどありません。

同感です。最近の題名はカタカナが多くて覚えられません。

「水車小屋」は、好きでよくCDを集めました。3大歌曲はみなすばらしものですが、特にこの曲には思いいれがあります。
確か、ドイッチュは、鮫島有美子の旦那ではないかと思います。だからというわけではないかもしれませんが、リートの伴奏の腕は抜群で、世界でも何本かの指に入るのじゃないかと思います。
2008.03.16 08:21

無題 - sweetbrier

おはようございます。
昨夜来、どうしてもプロチュカの名前が気になっり、一晩たってみると1カ月前のこちらのエントリーを思い出しました。糸口は、↑でかわされているコメントの鮫島さんのこと。確かこちらで知ったのだわ・・・と。
すみません、拙ブログで「初めて聞くような~」とコメントをしてしまいました。
これを拝読した日には、

> このプロチュカ盤は、若者のいきりたつ感情を露わにした激情的な歌いぶりで異彩を放つ。

というところに興味を持ちました。言葉がわからないので、感情表現を押えたよりは、こういう方が同調しやすくて好みだからです。ヘフリガーに比べると、荒削りというか、野性的(ちょっと言い過ぎかな)な感じでしょうか。
ドイチュのピアノは、控え目ですよね。ダムラウとのリサイタルのCDでも、そう感じました。打鍵やピアノのコントロールにすぐれ、音色がすばらしいとか。私の持っているCDでは、ちょっとわかりにくかったです。
2008.04.20 Sun 08:51 URL [ Edit ]

Re:sweetbrierさん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

コメントありがとうございます。

ドイチェはいろいろな歌手と組んでいるので、他にもいくつか持っていると記憶するのですが、この「水車小屋」がもっとも印象的です。
ヘフリガーの演じる青年が語りの味をじゅうぶんに発揮したものだとすると、プロチュカの青年は、激しく動きのある演劇のような味があります。血気盛んというか。
それをほんわかと包み込むドイチェのピアノはすばらしい。
いっけん冷静沈着なのですが、細かい部分まで面倒を見てあげているし、流れも自然なのです。
彼のピアノでダムラウも聴いてみたいですねー。
2008.04.20 17:47
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