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マゼールのプッチーニ「トスカ」

2010.02.14 - プッチーニ
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プッチーニ「トスカ」 マゼール指揮 聖チェチリア音楽院管弦楽団・合唱団


島田雅彦の「ひなびたごちそう」を読む。
日本全国世界各国をまわる食の旅。これだけであればただの食べ歩き本であるが、著者は自宅に帰るや否やすぐに実行する。
新しい料理を家で作ることができたとき、喜びは倍増する。自分のレシピが増える楽しみである。
そのなかからひとつご紹介する。

「大根の皮の即席タクアン」
1.大根の皮を切手大に切り、醤油と紹興酒(ウチでは日本酒にした)に適当な時間漬ける。

早速やってみたところ、皮のパリパリ感と醤油の香ばしさが相俟って、ビールのアテにいい。
いままでは大根の皮を平気で捨てていた。まったく、なんてとんでもないことをしていたのだろう。
アイデアのユニークさ種類の多彩さにおいて、壇一雄の「壇流クッキング」、三善晃の「オトコ、料理につきる」と並ぶ三大料理本と呼びたい。


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60年代のマゼールの覇気溢れる演奏を楽しみに買ったCD。まず、サンタ・チェチリア管の肌理細やかな弦がいい。生きるヨロコビと切なさとを、終始しっとりと情感豊かに歌い切っている。テ・デウムにおける荘厳で非常な緊張感のあるたたずまいには手に汗を握らないではいられないし、3幕の2曲目以降からの弦楽合奏のみずみずしさは夜露のごとく、哀感たっぷりである。それに重なるクラリネットの今にも折れそうな悲哀がたまらない。
それからトスカが自害する直前における場面。さほど大きな音量ではないものの、地鳴りのように合奏が鳴り響く。このあたりのオーケストラの切羽詰まった音、これはなかなか容易には聴くことができないのではないだろうか。
マゼールの手腕、聴き手の想像力を大きく上回る。演奏者たるもの、こうでなきゃ。
歌手では主役の三人、隙はない。ニルソンは迷いなき輝かしい声でもって近寄りがたい雰囲気を醸し出す。毅然とした歌い回しがたいへん魅力的。
カラスに比べるといささか情感は足りないような気がするが、そもそもタイプが違う。
ディースカウのスカルピアは切れ味鋭い堂々たる偉容。スーツをバリッと着こなしたインテリジェントなやくざである。ただこの役柄を聴くと、どうもゴッピの歌を思い出してしまう。アチラはあたかも漁師町でくだを巻いていそうながさつな愚連隊。結局、なにを聴いてもあのたっぷりとドスの効いた重量感のある声を引き合いにだそうとする。この曲にはいつもサーバタの亡霊というやつがまといつく感じである。もっとも、どれをとるかは好みでしかない。
そんななかで、コレルリの歌は無条件に気に入ってしまった。なんの衒いもなさそうな、直線的なやさ男ぶりが空きっ腹にしみわたる。正しいイタリアのテノールである。スッキリ明快。
白ワイン片手に、ペスカトーレでも食いたくなる。
この演奏、どの歌手も素晴らしいけれども、結局は活発なマゼールの指揮に尽きると思う。

トスカ:ビルギット・ニルソン
カヴァラドッシ:フランコ・コレッリ
スカルピア:ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ
アンジェロッティ:シルヴィオ・マイオニカ
堂守:アルフレード・マリオッティ
スポレッタ:ピエロ・デ・パルマ

1966年6月、ローマ、サンタ・チェチリア音楽院での録音。
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Comment

無題 - yokochan

こんばんは。
マゼールのトスカ。マゼールが一番おもしろい頃に録音されてよかったと思います。
歌手の取り合わせもユニークで味わい深いですね。
私も好きなトスカのCDです。TBさせていただきました。

ダイコンの皮はナイスなアイデアですね。
私は、最近ブロッコリーの芯に凝ってまして、これを薄切りにして煮物にするとウマいんです(笑)
野菜は捨てるとこないですね。
2010.02.17 Wed 23:33 URL [ Edit ]

Re:yokochanさん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

60年代から70年にかけてのマゼールは面白いです。少々エキセントリックなものの、やる気に満ちていてテンション高く充実していますね。
この演奏、歌手もいいところを揃えちゃいました。トスカとしてはコレッリの歌がいちばんまともなのに、この演奏からはなぜか浮いているように感じます。
TBありがとうございます。

ブロッコリーの芯、そうそう、モチロン捨てられません^^
ちょっと湯がいてサラダにするときは、芯は細切りにして食いつくします。
2010.02.20 13:20
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