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マゼールのプッチーニ「ジャンニ・スキッキ」

2009.02.08 - プッチーニ


puccini

プッチーニ オペラ集


R・D・ウィングフィールド(芹澤恵訳)の「夜のフロスト」を読む。
市内を襲った流感で欠勤の続出する警察署内に、立て続けに起こる連続老女殺人、少女絞殺、青年実業家撲殺。記録破りの死体の山。
このピンチにフロスト警部は、連日朝から朝までの大活躍。
3作目にしてますます冴え渡るシモネタ、そして経験とカンによる大胆な捜査。
前半で種を思いっきり蒔いているのだが、最後は見事に全ての事件にオチがつく。ことに、ラストの数十ページは、手に汗を握る緊迫のシーンの連続で、痺れる。
フロストの魅力はもちろんのこと、出世願望の強い相棒と、これも上に常に媚びている署長がここでもいい味を出している。
読み始めたら、家でも昼休みでも電車の中でも手放せない。


プッチーニのオペラ集から、「ジャンニ・スキッキ」。
ワタシにとって初モノである。このCDがなければ、一生聴かなかった可能性が高い。これも縁かな。
このオペラは、プッチーニ唯一の喜劇である。完成したオペラということでは、プッチーニ最後の作品であるらしい。
話の内容をまったく知らずに何度か聴いただけでは、悲劇なのか喜劇なのかわかりずらい。「トスカ」や「トゥーランドット」を垣間見るようなシーンがあって、親しみやすい。
この演奏だと全曲で51分。短くて聴きやすいが、普段の通勤時間よりも短いのがなんとも言えない。
初めて聴くので比較はできないのだが、演奏はいいものだと思う。
歌手陣では、ゴッビの存在感が大きい。録音当時、60歳を過ぎているが、緊張感と威圧感がひしひしと伝わってくる。サーバタ盤でのスカルピアを彷彿とさせる。
コトルバスの見せ所は「私のおとうさん」で、声そのものの魅力はさほど突出したものではなくて、感情の表現に重きを置いたもの。
ドミンゴはさほど存在感がない。役柄の性格によるものかもしれない。
マゼールの指揮はここでも好調。細部までキッチリと目の行き届いた指揮ぶり。ロンドン饗の中性的な音色は、目隠しされたらどこのオケか皆目わからないに違いない。堅実な弾きぶり。

ジャンニ・スキッキ:ティト・ゴッビ(Br)
ラウレッタ:イレアナ・コトルバス(S)
リヌッチョ:プラシド・ドミンゴ(T)
ロリン・マゼール指揮
ロンドン交響楽団

1976年、ロンドンでの録音

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Comment

無題 - rudolf2006

吉田さま こんにちは
「ジャンニ・スキッキ」を聴き直してからコメントをしようと思っていたのですが、いつになるか分からないので、先にコメントします〜。

フロスト・シリーズ 面白いですよね〜。
私は今は、ディック・フランシスの競馬シリーズの最新刊を読んでいます。下品だけれども、温かみのあるフロスト、良いですよね〜。翻訳も優れているのだと思います。

「ジャンニ・スキッキ」は、ダンテの神曲がその下敷きになっているとかを何かで読んだことがあるんですが、筋はややこしいですよ〜。
良い音楽ですし、ラウレッタのアリア、これも実は、かなり酷いことを歌っていたように思うんですよ(どうだった、忘れてしまったんですが〜)。

でも、音楽は生き生きとしていて、良い作品ですよね。前に聴いた感じでは、マゼールの指揮も良かったような〜。マゼールって、かなりの指揮者なのかもしれませんね〜。

ミ(`w´彡)
2009.02.10 Tue 11:18 URL [ Edit ]

Re:rudolf2006さん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

コメントをありがとうございます。

フロスト・シリーズ、面白いですね〜。
日本語訳がでているものは、あと1冊になりました。なんだか読むのがもったいないです^^
ディック・フランシスの競馬シリーズは息が長いですね。読んだことはないのですが、面白いとの評判は昔からきいています。もうかなりの数が出ていますね。

「ジャンニ・スキッキ」、あらすじを眺めていたら、けっこう複雑なようです。曲は短いのに。
相変わらず歌詞を読まずに聴いているので、誰がどういうことを歌っているのかまるで知らぬままですが、なかなかいい曲です。
このボックスの購入は、マゼールが多いのも決め手でした。
2009.02.11 13:53
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