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トスカニーニのヴェルディ「レクイエム」

2009.01.16 - ヴェルディ
verdi

ヴェルディ「レクイエム」 トスカニーニ指揮NBC交響楽団、他


今まで好んで聴いてきたヴェルディのレクイエムは、カラヤンとベルリンの新盤、アバドとスカラ座、それからジュリーニとフィルハーモニアのもの。なかでも、ジュリーニの演奏はLPからCDにかけて聴いてきた思い入れ深い録音だ。息のたっぷりとした明快なカンタービレと、若々しい情熱の迸りがなんともステキなのだ。
『ディエス・イレ』の咆哮で音がひび割れるところはCD化されてもたいして改善されていなくて、そうしたところさえもいとおしく感じるのだった。
そんなわけで長らくジュリーニ盤がマイベストだったわけなんだけど、トスカニーニを聴いて、それが少し揺らぎかけている。
「何だよいまさら」なんて言われそうだけど、初めて聴くのだから仕方がない。イヤ、これはマイッタ。
冒頭から尋常ではない気迫だ。そっと立ち上ぼってゆくヴァイオリンのなんとつややかなことか。古い録音だから、バサバサとした雑音の中から立ち上がって来るのだけど、ヴァイオリンにあたかも後光がさしているかのように、光っている。
『ディエス・イレ』の迫力たるや、なんてことだろう。このくらいやってこそ神の怒りということか。合唱はもちろん音が割れまくっているが、どうしたことか大太鼓は妙に鮮明。皮の軋むところまで捉えている。手加減なしで心臓を貫くような一撃で、これはショックだ。
『ラッパがなりて』では、大音量の奥から、トスカニーニらしき人物の怒号が聞える。録音当時83歳、ヤル気まんまんだ。
歌手もいい。みんな持ち味を発揮しているというか、伸び伸びと思い切りよく歌い上げている。
ステファノは甘さたっぷりで輝かしい。『キリエ』では、張り切りすぎて声がうらがえりそうになっているところは愛嬌。
シエピは岩山のような逞しさをみせて、つけいるスキなし。
ネルリとバルビエーリの見せ場は、『アニュス・ディ』、ふたりの粒のたった声がはっきりと聞き分けられ、こんなに声質が違うのに一体感があるのが不思議に思える。
全体を通して、NBC響の勢いが素晴らしい。アンサンブルは完璧ではないものの、推進力に圧倒される。


ヘルヴァ・ネルリ(S)
フェードラ・バルビエーリ(MS)
ジュゼッペ・ディ・ステファノ(T)
チェーザレ・シエピ(B)
ロバート・ショウ合唱団
アルトゥーロ・トスカニーニ指揮
NBC交響楽団

1951年1月、ニューヨークでの録音。

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Comment

無題 - rudolf2006

吉田さま お早うございます

出ましたね〜 マエストロ・トスカニーニのヴェルディの「レクイエム」 熱い、熱い演奏ですよね〜
ライヴでこれだけの演奏をするのは、やはり凄いものだと思います〜。
ステレオ盤だと、ショルティ盤、オーマンディ盤を聴いていますが、この演奏は、格が違うようにも思いますね。

燃えまくっているマエストロの演奏ですよね〜。

ミ(`w´彡)
2009.01.17 Sat 10:32 URL [ Edit ]

Re:rudolf2006さん、おはようございます。 - 管理人:芳野達司

コメントありがとうございます。

トスカニーニの「レクイエム」、いいだろうなあと思っていましたが、予想を超えるすごさでした。燃えてますねー。
ピンと張り詰めた緊張感のある佇まいがすばらしい。
それから歌手もいいですね。ことにステファノの思い切りのいい歌いっぷり、シエピの重厚でドスの効いた声は、今ではなかなか聴けないものじゃないかと思います。

トスカニーニのシリーズをいくつか購入しました。残りを聴くのが楽しみです。
2009.01.17 11:58
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