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ニルソン、ヴィントガッセン、ベーム、"トリスタンとイゾルデ"

2020.07.06 - ワーグナー

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ニルソンのイゾルデ、ヴィントガッセンのトリスタン、ベーム指揮バイロイト祝祭管弦楽団・他の演奏で、ワーグナー「トリスタンとイゾルデ」を再び聴きました(1966年7月、バイロイト祝祭劇場でのライヴ録音)。

最近は毎晩、カルロス・クライバーによるこの曲の2幕を寝床で聴いています。曲想は夜の雰囲気濃厚だし、演奏はしなやかで気分よし。けれど酒飲んで寝るから、最後まで聴き通したのは数えるほど。
日がな一日トリスタンの旋律が頭を巡るなか、さてベーム盤はどんなだったかなと、いそいそ取り出しました。

大まかな輪郭は記憶にあるけど、改めて聴くとこちらは豪壮。オーケストラの音色はザクザクしているし、ワーグナー特有の、瞬間的に沸騰するようなシーンでの響きにはたっぷりとドスが効いており、背筋に電気が走るよう。
レコード録音において、多くの演奏者はセッションよりライヴのほうがいいと云われるけど、ベームは格別。引き締まったフォルムを軸に、始めから終わりまで緊張感を途切らせることはありません。

歌手もいい。
ニルソンは可憐でありつつ、力強い。彼女はショルティ盤でもイゾルデを歌っていて、どちらもいい歌唱だけれど、こちらはライヴということもあるのか感情の陰影がより濃くなっているように感じます。
ヴィントガッセンは、低音域から高音域までムラなく伸びやかで毅然としています。カルロス・クライバー盤のルネ・コロと比較すると、高音域については冬の太陽のように輝かしいコロをとりたいけど、中低音域はヴィントガッセンのほうが深々としているように思います。
ルートヴィヒは録音当時30代なのだけど、すでに風格たっぷり。ずっしりとした聴後感があります。
ヴェヒターはしっかりと厚みがあるし、タルヴェラはトルクの大きい高級車みたいに余裕ある歌いぶり。
好きなシュライアーは端役だけど、瑞々しい歌声で存在感あり。

全体を通して、やはり素晴らしい演奏。


バイロイト祝祭合唱団
ヴィルヘルム・ピッツ(合唱指揮)
イゾルデ:ビルギット・ニルソン
トリスタン:ヴォルフガング・ヴィントガッセン
ブランゲーネ:クリスタ・ルートヴィヒ
クルヴェナール:エーベルハルト・ヴェヒター
マルケ王:マルッティ・タルヴェラ
メロート:クロード・ヒーター
若い水夫:ペーター・シュライアー
牧童:エルヴィン・ヴォールファールト
舵手:ゲルト・ニーンシュテット



















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