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猫のドヤ顔、ショルティ、"ワルキューレ"

2014.11.29 - ワーグナー

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ショルティ指揮ウイーン・フィルの演奏で、ワーグナーの「ワルキューレ」を聴く。

これは、「ラインの黄金」以上に、ショルティの手腕が光る演奏だ。
弦楽器はギリギリときしりながら鳴らせ、金管楽器は息が続かぬほどの咆哮を提示する。計算されつくした爆裂の狂気がここにある。おそらく、ショルティ本人はそれらを狂気だとは思っていない。泰然としたものだ。けれど、他の演奏と聴き比べてみたとき、それは歴然とする。直角三角形のトンガリのところみたいにいきり立ったサウンドは、録音後半世紀を経てこれを超えるものはない。

ただやはり、人工的な効果音は鼻につく。こういうものは、なくったって、ショルティの音響があれば、デッカのサウンドとして示しがつくと云うもの。

ウイーン・フィルは、ショルティという指揮者を嫌っていたという話を、いろいろなところできく。晩年の日本公演では、木管奏者が遅刻してきた、なんて話もそれに輪をかけている。しかしそれは、もちろん、全員が嫌っていたわけではなくて、弦楽器かあるいは木管楽器の一部の奏者に限られていたのではないか、そんな気がする。トランペットやホルン、トロンボーンの奏者たちは、ひそかに(?)ショルティを気に入っていたのではないか。あれだけ気前よく吹かせてくれるのだから。嫌いなわけがない。そう夢想する。

さて、あとは歌手。もう、すべて素晴らしい。なかでは、ルートヴィヒとキング、それとホッターがいい。
ルートヴィヒの声は深い。深くて、広い。スタイルとしてはとても汎用的でありながら、要所を突き詰める根性の強さは、隋一だろう。ここでは、オーケストラに負けない存在感を放ってやまない。
キングの歌唱は英雄というにじゅうぶん足りるもの。輝かしく、繊細で、表情が豊か。こういう人がカラオケスナックに来たら、みんな腰を抜かすだろう。
ホッターがまたスゴイ。重量感たっぷりの声。そして貫禄。なんでもありの神らしい、これは重厚さである。声の艶はやや翳っているものの、この存在感は捨て置けない。


ヴォータン:ハンス・ホッター
フリッカ:クリスタ・ルートヴィヒ
ブリュンヒルデ:ビルキット・ニルソン
ジークムント:ジェームズ・キング
ジークリンデ:レジーヌ・クレスパン
フンディング:ゴットロープ・フリック
その他、大勢
ウイーン国立歌劇場合唱団


1962年5月、10月、11月、ウイーン、ゾフィエンザールでの録音。




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ma


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Comment

こんにちわ - neoros2019

きょうネットカフェで別件でパソコンを使っています。
試しに自分のブログにコメント入力しようとしたら、できないのでビックリ
あまりにも執拗な迷惑メールの飛び込みを防御するために、つい最近とられた処置のようです。
コメントをいれるのに、ヤフーIDをつくらなきゃならないみたいです。
吉田さんと同じようなヘビーなクラシック音楽ブログを開設している、ある人がいるんですが
この方は音楽と同時に、以前から中国問題を叩いていたらコメント入力に不穏なウィルスの攻撃がかかるようになりました。
結果として、このような鬱陶しい現状があるようです。
2015.06.29 Mon 16:38 [ Edit ]

neoros2019さん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

カフェでお仕事なのでしたか。
私は会社のPCが会社に(といっても出先ですが)がっちり施錠がかかっているので持ち運びができません。そもそも会社の資産を使えることが勤め人の最たるアドバンテージなのですが、それはあまり感じられません。まあ、贅沢は言えませんが。
仰るように、yahooブログはセキュリティが強いですね。だいぶ前から、会員でなくてはコメントできないし、いろいろ制約があるようです。いろんな意味で困ったことです。
去年からショルティとヤノフスキの「リング」聴き比べをやっていますが、「ジークフリート」以降、なかなか進みません。ヤノフスキ盤のシュライアーとコロのやりとりが面白すぎて、どう書こうか思案しまくりです。。
2015.06.29 21:35

14CDいっきに - neoros2019

私事ですが、病に伏し、大掛かりな手術を近隣で受けることとなりました。
術後4週目迎えているのですが、体力が戻らず
家で過ごすというより、横たわっている時間があまりに多いので、ショルティの指輪全曲をじっくり、鑑賞し尽くしました。
録音、演奏、オケ、歌手、英デッカ資本のパブリシティーその他すべてを集約した歴史的1代事業だったことを思い知らされる内容でした。
福島章恭のように徹底してショルティを嫌う人もいますが、わたしはただ〃打ちのめされる鑑賞後の余韻にひたるばかりでした。
2016.05.07 Sat 18:23 [ Edit ]

そうでしたか。 - 管理人:芳野達司

そのようなこと、存じませんでした。大変でしたね。
何卒、ご自愛くださいませ。

ショルティの「指輪」、聴かれたのですか。「ジークフリート」の途中まで聴きましたが、そこで止まっています。。
それまでのところ、歌手、オーケストラともども最上級の演奏であることは疑えません。
ちかいうちに「ジークフリート」、そして「神々の黄昏」を聴いて、このサイトにアップします。
2016.05.08 22:09

お久しぶりです - neoros2019

最近ショルティの「後宮からの誘拐」「魔笛」を入手して驚愕しているところです。
きっかけは高名なモーツァルト研究家で知られる石井宏(八十六歳)氏の著書にて一推しだったから。
ショルティについては故:宇野、福島両氏の著書でのこき下ろしで、長い間、敬遠していた経緯があります。
ふたつのこのオペラ全曲を聴き終わり素直に、ショルティに拍手を送りたい。
演奏、歌手の究極的レヴェルの高さ、英デッカの録音の優秀な事と言ったら、言葉に尽くせません。
2017.01.11 Wed 19:09 URL [ Edit ]

こんばんは。 - 管理人:芳野達司

neoros2019さん、御無沙汰をしております。
ショルティの「魔笛」は聴きましたが、「後宮からの誘拐」はまだです。石井さんが勧めておられましたか。彼はモーツァルトのオーソリティでもありますよね。
ショルティは昔から好きで、シンフォニーからオペラまで愛聴しています。
基本的には、宇野、福島の評価はあまり信頼していません。前者に関しては、クナッパーツブッシュなどと教えられたこともありますが。
デッカの録音は素晴らしいですよね。
2017.01.12 20:56
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