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ゼルキン、ベートーヴェン"ピアノ協奏曲3番"

2015.03.19 - ベートーヴェン




ルドルフ・ゼルキンのピアノ、バーンスタイン指揮ニューヨーク・フィルの演奏で、ベートーヴェンのピアノ協奏曲3番を聴く。

昨日聴いたグールドの録音からは数年しかたっていないが、ピアノはもちろんのこと、オーケストラの響きの趣きも異なっている。
こちらはいくぶん速めのテンポ(といっても中庸。グールド盤が遅め)。冒頭のオーケストラからしてとても毅然としている。早春の風をうけているみたい。爽快である。
少し長い序奏を経て、ピアノが登場。大変姿勢がいい。背筋をピンと伸ばしている。格調が高い。近寄りがたい雰囲気があるものの、演奏そのものは血がたぎっており暖かい、というか熱い。

ゼルキンは20世紀を代表するベートーヴェン弾きである。CBSに入れたソナタは全部聴いている。それはどれも、ガッチリと楷書書きで描かれた品格のあるものだ。どれも素晴らしいし、優劣はつけがたい。好みでは、後期がやはりいい。ハンマークラヴィーアや30番、31番。曲のものすごさもさることながら、それに対するピアノの壮絶な弾きぶりはとうてい忘れることはできない。
けれどその一方、ライヴでのソナタや協奏曲はまだ聴いていないものがある。これもそうだし、同じ指揮者の「皇帝」もまだだ。だから、こうして、胸をときめかせながら聴いている。

ゼルキンのピアノは、いい意味で想定内と言える。彼が認めた録音が、悪かろうはずがない。メリハリがキッチリとついていて、陰影も濃く、デリカシーにも欠けていない。迫力もじゅうぶん。

バーンスタインの指揮もいい。グールド盤よりもこちらのほうがいいように感じる。テンポが彼の好みに合っているのだろう。とてもスマートでありながら、歯切れがとてもいい。ときにチェロ、コントラバスはギリギリと軋むような音を聴かせて、いかにも気合いが入っている。

グールド盤と比べるならば、ロマンティックな味わいを求めるならばグールド、オーケストラの張りのよさとピアノの格調の高さを求めるならばゼルキン、といったところだろう。私は、両方とる。

どちらも聴けば、世知辛い浮世を、ひととき忘れさせてくれる。


1964年1月、ニューヨーク、マンハッタン・センターでの録音。




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