忍者ブログ

ジュリーニのベートーヴェン「交響曲第6番"田園"」

2010.08.10 - ベートーヴェン
  
be
 
カルロ・マリア・ジュリーニ指揮ロスアンジェルス・フィル




chi

バスから見えた千曲川。橋がシブイ。



「アメリカのジュリーニ」6枚組。
星条旗をバックに、仕立ての良さそうなスーツを完璧に着こなすジュリーニ。ジャケットの絵柄は正直言ってあまり合うものではないと思うが、彼とロス・フィルとの組み合わせは最高だった。
ジュリーニが織りなす手厚いリードと、カラッと明快なオーケストラとが実によく合うのだ。
たっぷりとしたテンポを基調にした歌ごころ、副声部を浮き立たせることによってにじみ出る透明感、キリッとしまった縦の線、そして要所でぶちかますレガート。ややもすると重くなるドイツやオーストリアのオーケストラよりも、ロス・フィルやシカゴ響でこそ、ジュリーニの芸術は高次元で発揮できたノダ。
このアルバムに収録されている曲は、全てLPで聴いていたし何曲かはCDで買いなおしたが、こうしてまとめて出た以上、女房を質に入れてでも買うしかないだろう。

この「田園」は、発売当初は比較的穏やかに迎えられたと記憶する。要するに、さほど大きな評判にはならなかった。ときは、シカゴ響との「第九」シリーズがひと段落した頃。ロス・フィルに就任したニュースを知ったわれわれは浮かれていたので、ひとつひとつの評判はさほど気にならなかったな。

「田園」を改めて聴いてみると、とても精緻な演奏だと感じる。弦5部はあいまいさのない明確なもの。ゆっくりとしたテンポのなかで、フレーズの節目になにげなくテンポを変化させるところなんか、じつに繊細だ。弦に加えて、木管と金管も硬質で輪郭がはっきりしている。はっきりしているから技量をごまかせない。雰囲気や勢い重視の演奏とは一線を画した、計算され尽くした音楽である。ここには、硬くて明るい響きと、毅然とした佇まいがある。指揮者の作った台本に忠実なのだ。
ジュリーニ曰く、「アドリブは許さんぜよ」(ホントか?)。
まだまだ序の口。


1979年11月、ロス・アンジェルス、シュライン・オーディトリアムでの録音。

PR
   Comment(0)   TrackBack()    ▲ENTRY-TOP

Comment

コメントタイトル:
投稿者名:
Mail:
URL:
投稿内容:
Password: ※1
Secret: 管理者にだけ表示を許可する※2
※1 パスワードを設定するとご自分が投稿した記事を編集することができます。
※2 チェックを入れると管理者のみが見ることのできるメッセージが送れます。

TrackBack

この記事へのトラックバック
TrackBackURL
  →
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
ポチっとお願いします(´_`\)  ↓ ↓ ↓
最新コメント
カッチェン、フロマン、ブラームス"ピアノ協奏曲2番" from:Yoshimi
-11/16(Thu) -
フルニエ、フィルクスニー、ブラームス"1番" from:老究の散策クラシック限定篇
-03/18(Sat) -
ゼルキン、オーマンディ、ブラームス"1番" from:老究の散策クラシック限定篇
-02/20(Mon) -
ゼルキン、オーマンディ、ブラームス"1番" from:“スケルツォ倶楽部”発起人
-02/20(Mon) -
古典四重奏団、ベートーヴェン、15,13"大フーガ" from:老究の散策クラシック限定篇
-10/30(Sun) -
最新TB
カテゴリー