リッカルド・ムーティ指揮フィラデルフィア管弦楽団今年の夏休みは、カミさんの要望で上高地へ。
ここは自動車の乗り入れ規制が厳しいという話をきいていたので、事前に交通手段を調べるのが億劫になり、バスツアーに挑戦してみた。軽井沢、上田、そして上高地へ行くコースである。
子供の頃は親に連れられて何度か行った記憶がうっすらあるが、自主的に参加するのは初めて。騒々しい団体のオバサンや酔っ払ってバスを止めるオトッツァンのイメージが強かったので、いままで避けていたのだ。
果たして、行ってみるとよかった。こんなに気楽なものだったとは。
椅子に腰かければ、なにも考えずに目的地へ連れて行ってくれる。同じツアーのメンバーはみんなおとなしいし、若くてきれいな女性は多いし、添乗員はわりと感じがよかったし、これ以上なにかを望んだらバチがあたるのじゃないかと思うくらいだ。
ストロベリー・ジャムが有名な店。旧軽井沢にはこういった小洒落た店が多いみたい。
これも有名らしいパン屋。評判のパンは品切れだった。
オシャレな街の有料トイレはどんなに豪華かと期待したが、ウォシュレットもついていないごく普通のものだった。
暑いときには辛い食べ物というが、音楽はこってりしたものをひとつ。
ムーティの「幻想」は、ある意味突出した演奏だ。
すばらしいのは、金管楽器と打楽器の音。バリバリとパンチの効いた鳴りっぷり。ただのバリバリなら、そのへんのオケでもできるが、音の艶さかさとキメの細かさは群を抜いている。ティンパニと金管の溶け合った音は、皮のあたたかさと金属の冷たさとが高度に融合されていて、そのなかからかすかな暴虐がキラリと光るのだ。これだけでムーティ盤を聴く価値はじゅうぶんにある。
ムーティの指揮からベルリオーズの霊感を感じることは少ないが、オーケストラのサウンドを楽しむのにこれ以上のものはなかなかないだろう。
1984年11月3,5日、フィラデルフィア、メモリアル・ホールでの録音。
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