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カラヤンのブルックナー「交響曲第8番」

2008.05.20 - ブルックナー

karajan

ブルックナー 交響曲第8番 カラヤン指揮ウイーン・フィル


先週末は発熱してダウン。ここ最近、気温の変化が大きかったとはいえ、すぐに体調を崩してしまうのはトシのせいか。
微熱が収まらず、頭が朦朧としていた。
なので日曜日は一日中寝床でゴロゴロ、寝たり目を覚ましたりの繰り返しのなかで、ひとつ収穫だったのはNHKの「サンデークラシックワイド」。流れていたのは、ヘンデルの世俗的オラトリオ「アチスとガラテア」である。
ぼけた頭で、ほんの少し期待していた音楽は素晴らしかった。
自然に湧き出るような新鮮な生命力と、澄んだ青空のような大らかさ。
こうしたすばらしい音楽はまだまだたくさんあるのだということを改めて思い知らされた。
いままで長いこと音楽を聴いているけれど、ヘンデルはほとんど聴いちゃいない。こういう隠れた(いやいや、なにも隠れちゃいない、ただの怠慢である)音楽を、あとどれくらい聴くことができるものか。そういうことを考えてしまうこのごろである。

とはいえ、知っている曲を違う演奏で聴く楽しみは、他に代えがたいものがある。
ブルックナーの8番だ。
ブルックナーは、指揮者によっておおいに違う姿をみせてくれるけれど、この8番も例外ではない。
なにしろ大作であるから、録音を実現することがひとつのフィルターであるといえる。
それはカラヤンにとっても、特別なことだったのじゃないだろうか。
カラヤンが、ベルリン・フィルと1975年に録音した演奏は、なんとも華麗でスマートな演奏であった。
メカニカルな色が強くて、流麗で都会的な、洗練されつくしたものだった。
このウイーンとのものは、彼の8番の最後の録音になる。
ベルリンとウイーンとを比べると、通常、前者は田舎臭くて後者は都会的であるという印象があるが、ここでの演奏は逆である。ウイーンとのものは、もったりしている。鈍重な感じすらうける。これはカラヤンの嗜好というよりも、ウイーン・フィルの特色が強く出ている結果じゃないかと思う。
ことに、皮の感触がするティンパニの存在感はなかなかに強烈である。全体のアクセントを決定づけているともいえる。要所に叩き込まれる重音が、通奏和音のように音楽を支えている。
そして、くすんだ金管と弦の音色。歴史の重みを感じさせるような、いい感じに色褪せた響きである。
ドレスデンとも、もちろんシカゴとも違う色合いである。この厚い響きを、カラヤンはゆっくりとしたテンポでこれでもかというくらいに鳴らせる。この響きをじゅうぶんに味あわせるためのこのテンポであるかのようだ。
演奏時間は全曲で82分だけれども、実際に聴いてみると、もっと長いように感じる。
弛緩しているからか。
これはカラヤンの枯れた姿じゃないかと思う。この指揮者は、なかなか枯れた味をみせなかったけれど、このブルックナーは、崩れる寸前のところまで熟しているように思える。
腐る寸前の果実のような、甘くて爛熟した味わいのブルックナー。
風邪っぴきには少々重いのであった。

1988年11月、ウイーンでの録音。
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Comment

無題 - rudolf2006

吉田さま お早うございます

私の家ではFMがまったく入りません;;
で、残念なことが多いです。吉田秀和さんの放送は車の中で聴いている始末です、爆~

カラヤンの晩年 少し不幸であったような
終身音楽監督であったベルリンを辞めましたよね、それ以降はヴィーンのオケを振っていましたよね。
ひょっとすると、カラヤンはベルリナー・フィルハーモニカーのインターナショナル化に反対をしていたのではないかなって思ったりもします。カラヤンが辞めてから、イタリア人、フランス人、イギリス人の団員が増えてきていますからね~。音楽監督が入れたわけですが~。今はまったく聴きたいオケストラではなくなりました、私にとっては~。

カラヤンの無念、それは想像を絶するものであったかもしれませんね。
ですが、カラヤンの全盛期は60年代から70年代であったようにも思いますね~。

この晩年のブルックナー、未聴です
若い頃からブルックナーを振っていますので、遺言のような録音かもしれませんね~。

知らない曲、知らない演奏が数多ありますよね~
残り時間はわずかです、その間にどれだけ聴けるんでしょうか?

ミ(`w´)彡 
2008.05.21 Wed 04:31 URL [ Edit ]

Re:rudolf2006さん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

コメントありがとうございます。

私の家は田舎なのでFMが入りにくいです。FMを聴くときは、もっぱら寝床でラジカセです。
しばしばいい番組をやっていますが、雑音が多いので、あまり聴きたいと思わなくなりました。
先週末はずっと寝床で伏せていたので、たまたま聴いていました。たまに聴くと、いいなあと思います。

カラヤンは晩年は主にウイーンを振っていましたけど、やはり彼はベルリンのほうが合うのじゃないかと思います。
>ひょっとすると、カラヤンはベルリナー・フィルハーモニカーのインターナショナル化に反対をしていたのではないかなって思ったりもします。
なるほど、ザビーネ・マイアーもドイツ系でしたね。

この晩年の8番はすばらしいものです。甲乙つけがたいものがありますが、好みでいえば僅差で75年のベルリンとのもののほうが好きですね。
2008.05.21 12:50

無題 - bitoku

吉田さん、こんにちは。

カラヤン晩年のブル8ですね。これは発売当時良く聴きました。


冒頭からテンションが高い演奏でカラヤンの豪放さとオケの美しい響きが好きでした。

でも最近はあまり聴かなくなりました。
なんでだか分からないですが。

>演奏時間は全曲で82分だけれども、実際に聴いてみると、もっと長いように感じる。
弛緩しているからか。

確かに長く感じますね。(笑)
体調の良い時に気張って聴かないのダメかも知れません。





2008.05.24 Sat 18:00 URL [ Edit ]

Re:bitokuさん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

コメントありがとうございます。

カラヤン晩年のブル8です。このときは、もうベルリンと離れた頃でしたか。主にウイーン・フィルと録音をしていましたね。

ゆっくりとしたテンポをほとんど動かさないでじっくりと演奏しています。ウイーン・フィルの響きに魅せられます。
特に、弦とティンパニがいいのです。
こってりとした、甘い音色がたまりません。
この頃であれば、ベルリン・フィルを振っても、こういった演奏をしたかもしれません。
ステーキとフルボディの赤ワインのような、重量級の音楽なので、私も今後、そう頻繁には聴くことができないような気がします。
2008.05.24 21:21
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