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ベイヌムのブラームス「交響曲第1番」

2009.02.21 - ブラームス

brahms

ブラームス 交響曲第1番 ベイヌム指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団


島田雅彦の「酒道入門」を読む。
酒を呑むステージはいろいろある。家でひとり呑む酒、居酒屋で賑やかに呑む酒、ショットバーで静かに語り合う酒。そして、キャバクラでの酒。
『落ちないとわかっているキャバ嬢のために、一年で300万、400万と注ぎ込む男たちもいます』。
『たいていの男たちは「無理とわかってながらここまでやれるオレってどうよ」という自己満足の快感こそが励みになっているのです』。
『バカだなと笑われるような立場にあえて自分をもっていく。あえて失敗するようなことをやってみる。限りなく自虐に近い愚行の楽しみ』。
男が何故キャバクラに足を運ぶのかを、的確にあらわしている。
私も十何年か前にはまって散財したが、今思うと後悔よりも、愚行の楽しみの思い出のほうが強いのだ。


キャバクラとは遠く離れたところにある感がある、ベイヌムのブラームス。
男気あふれる硬派な演奏だ。
全曲で41分17秒は、この曲の録音史上でもトップクラスの速さだろう。筋肉質の響きがこのスピードによくあっていて、しばらく聴いていると、速さに対する違和感はまったくなくなる。
ブラームス独特の甘さや感傷を、可能な限り削り落としたようなスタイルなのに、じわじわと優しさが滲み出る。
それは特に2楽章。コンセルトヘボウのオーボエがとても端正であり、厳しくもあり、そしてカラッと明るい。ビターでほんのり甘い孤独の味わいだ。
キャバクラに行った後の虚しさを、包んでくれる演奏に違いない。

1958年9月、アムステルダムでの録音。
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Comment

無題 - rudolf2006

吉田さま こんにちは

キャバクラで散在する男性陣、どうしてなのか、私には分からなかったのですが、なるほどね〜、「無理と分かっていてもそこまでやれる」ことに対する自己満足、自虐だったんですね〜。ようやく分かりました〜。
どこで飲んでも同じ酒を。座って何万かのクラブで飲んでいた、私も自己満足だったんですね、良く分かります〜。同じタイプだったんですね、爆〜。

ベイヌムの演奏を聴いておられるようですね〜。
実は、私も吉田さんに感化されて、ベイヌムを一枚買いました。「ポストホルン・セレナーデ」が入っているものですが、なかなかというか、かなり良いですよね〜。

ブラームスは普段聴くことが本当に少なくなっています。ハイドンのシンフォニー、ベトベンのヴァイオリンコンチェルトの演奏を次は欲しいなと思っています。

ミ(`w´彡)
2009.02.21 Sat 15:00 URL [ Edit ]

Re:rudolf2006さん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

いつもコメントありがとうございます。

キャバクラでの自己満足、自虐、よくわかるのです。
昔、数ヶ月で100万近く散財したこともありました。今となってはいい思い出…というわけではありませんが。
いまも時々行くのですが、翌朝は必ず後悔します。
何度同じ過ちを繰り返したらいいのか…。

ベイヌムの演奏は、ブラームスのみ2枚だけですが、なかなかいいと思いました。こざっぱりして小気味がよく、細かな気配りもあります。
モーツァルトやドビュッシーを聴いてみたいものです。
2009.02.22 18:27
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