カルロ・マリア・ジュリーニ指揮 ロスアンジェルス・フィル上高地の交通規制は厳しいため、進入できるのは路線バスと地元のタクシー、それから業者の自動車のみ。観光バスも沢渡止まり。
炎天下のなかでシャトルバスを待つひとびと。
大正池。
交通規制のかいもあって(?)、透明度は抜群。手を水に5秒もつけると痺れる。缶ビールがよく冷えそう。
大正池の鴨。
人慣れしている。池のほとりで弁当を広げる夫婦にわらわら集まっていた。
「アメリカのジュリーニ」6枚組、第3弾。
こんなにゆったりしていて、かつスリムなブラームスがあるだろうか。
第1楽章を反復しているとはいえ、48分の演奏時間は長いといえる。それなのに、もたれることなくアッサリと聴くことができる。
それはオーケストラの性質に依るところが大きいとみた。弦から木管、金管、ティンパニにいたるまで、なんとも軽やかなのである。湿り気のない、乾燥した西海岸の空気を思わせる。録音もそれに輪をかけている。デッカ録音だったメータ時代の演奏は、やわらかなヴェールを幾重にもまとったような色彩の強い音だったが、ここでは残響は抑えられて、素のままといった感じ。DGのほうが実際に聴くものに近いようだ。
それだけにごまかしはきかないわけだが、どのパートものびのびと明快な音を聴かせる。どの音にも陽光が差し込んでいて、陰りは少ない。一風変わったブラームスかもしれないが、これはこれでアリだ。4楽章の軽やかさはちょっと比類がない。ティンパニの打撃がひとつひとつ手にとるようにわかるではないか。スケルトンの海水魚のようだ。
それにしても軽やかで見通しのよいブラームス。残暑にもよく合うのだ。
1980年11月、ロス・アンジェルス、シュライン・オーディトリアムでの録音。
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