ブラームス 交響曲第2番 ベーム指揮ウイーン・フィル
小学館の「クラシック・イン」の解説は面白い。いままで知らなかったことがさりげなく書かれているので、ときどき目から鱗が落ちそうになる。
たとえば、この楽譜。

ブラームスがいかにベートーヴェンの影響を受けているかを説明しているところなのだが、このふたつの曲は音程と調性が違うものの、リズムがまったく一緒なのである。知らなかった。
ついでに言えば、「英雄」のこの主題は、モーツァルトの「バスティアンとバスティエンヌ」の序曲と似ているらしい。だから、ブラームスは孫引きなんだって。
ブラームスの交響曲について、1番はベートーヴェンの10番で、2番は「田園」、3番は「英雄」である、なんてことを聞いたことがあるが、実は2番が「英雄」だったのだな。
まあ、そこはどうでもいいか。
そういうわけで、ベームで2番を。
すっきりと軽やかで温厚なブラームス。
録音は1975年。歴史的名演とされているNHKホールでのブラ1が3月のことだったから、その少しあとということになる。
あのブラームスは、強固なフォームに激しい情熱が迸る熱狂的な演奏だった。あの臨場感はライヴでもそうそうあるものではない。
だから、このセッション録音に同じような興奮を求めるのは無粋だろう。
端正だけれども、小ぶり。ウイーン・フィルがとてもコクのあるいい音を出している。2楽章の弦楽器はしっとりしていて、芯のある柔らかみがある。いままで聴いた中で一番美しいかも。型がきっちりしているから、それがキラリと映えている。
アクが少ないので面白味は薄いが、折り目正しいまっとうな演奏としての味はある。
1975年5月、ウイーン、ムジークフェラインザールでの録音。
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