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カッチェン、"ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ"

2015.12.16 - ブラームス
ma



ジュリアス・カッチェンのピアノで、ブラームスの「ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ」を聴く。

ブログ友達のyoshimiさんからは、ずいぶん前からこのピアニストを薦められていたのにも関わらず、youtubeで軽く聴く程度だった。CDは持っていたけれど、バラードのみ。いい感触ではあったけれど、ブラームスのピアノ曲にあまり興味を持てなかった。せいぜい、ふたつのコンチェルトを聴くのみ。ところが、この数カ月前にペライアの演奏を聴いて以来「ヘンデル・ヴァリエーション」の虜になり、どうしてもどうしてもカッチェンの演奏を聴きたくなった。

カッチェンのブラームスのこの6枚組ボックス、まだ何曲かしか取り出していないけれども、とても安心して聴いていられる。1962年から1965年の間に録音されているので、彼が30歳半ばから40歳ぐらいまでの記録である。
当時でもブラームスは当たり前に演奏されただろうが、このようにソロ曲を全部入れた例は他にないのじゃないか。質・量ともに、間違いなくブラームスのピアノ曲の包括的な演奏の嚆矢と言えるだろう。
テクニックはもちろん万全、それに加えて適度にブレーキがきいたパッションの温度、日曜日の深夜のような濃いセンチメンタルもじゅうぶん。

この曲の第1変奏は、まるでこれからピクニックに行くような朗らかで軽やかな音楽であるわけだが、そんな楽しみを全開にしたピアノはこれを置いて他に(今のところ)見当たらない。
これを聴いて、ほんのひとときの幸せを感じないでいられるだろうか!


1962年6月、ロンドン、デッカ第3スタジオでの録音。





ma
 
海へ。





重版できました。




「ぶらあぼ」4月号に掲載されました!







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Comment

カッチェンといえばブラームス - yoshimi

こんばんは。
日本ではレーゼルとオピッツの全集の方が良く売れているように思いますが、カッチェンのブラームス全集は、米amazonではレビューが一番多いです。
さすがに出身国のアメリカでは、今でも根強い人気があるようです。

1960年代の録音なので、音質はそれほど良くはありませんが、レーゼルもオピッツも録音していないハンガリー舞曲のピアノソロ版が入っているのがいいですね。(他の全集で入っているのは、NAXOSのビレットくらいでしょうか)

ソロの未収録曲がいくつかありますが、弦楽六重奏曲第1番の編曲版「主題と変奏」と、バッハの編曲版「左手のシャコンヌ」が入っていないのがちょっと残念です。

個々の曲については、音質や技巧面で他にも良い演奏はいろいろありますが、カッチェンの特徴は、ルバートを多用しても、音楽がもたれず、情緒過剰にならないので、技巧と感情表現のバランスの良さでしょうか。
それに、太く重みのある低音とほの暗い音色に情感の深さがブラームスらしさを感じさせます。

カッチェンは録音に加えて、あちこちでピアノ独奏曲の全曲演奏会をしていたので、ブラームスのスペシャリストとして有名だったそうです。
ベートーヴェンのソナタ全集のチクルスというのは珍しくはないでしょうが、ブラームスは珍しいですね。
2015.12.17 Thu 20:02 URL [ Edit ]

聴くのが楽しみです。 - 管理人:芳野達司

yoshimiさん、こんばんは。
レコード店で、レーゼルとオピッツの両方があったのです。どちらにしようかさんざん迷った末、1枚多いカッチェンにしました。というのは半分冗談で、そろそろきちんとカッチェンというピアニストを聴きたいなあと思ったからです。
出身はアメリカでしたか。国籍不明のイメージでした。。
ハンガリー舞曲のピアノソロ版ですか。普通は連弾でしたっけ。そうとうなテクニックがいるのでしょうね。

録音は60年代ではありますが、デッカの録音だけあって予想以上に聴きやすいです。現代においてもじゅうぶんに通用するのではないかと。
仰るように、カッチェンのテンポの変化はとても自然に聴こえます。また、テンポがいいですね。他に比べて、ほんの少しだけスピードが速いような気がしていて、それが音楽の推進力を増しているように感じるのです。
まだ、あと5枚。
年を越して、聴き続けたいと思います。
2015.12.18 23:17
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